軟弱な男たちの姿に見かねて、あの先生が立ち上がった!
杉作J太狼XE先生の「男の偏差値がぐんとアップする美しさ勉強講座」
大阪ミナミのグランドキャバレーに連れて行ってもらった。もう二十年ぐらい前の話である。
連れて行ってくれたのは関西の芸能関係者。
この人がなかなかのいわゆるケチだった。
我々のテーブルについたホステスさん数名が「指名して」と頼むのを「だめ」と断るのだ。
もちろん最初から「指名してよ」と言ったわけではない。「今日はお仕事だったの?」とか「お兄さん、私の知り合いに似てるわ」とか、いろいろとお話をして、ひとしきり笑ったりなごんだりしたあとの頼みである。
ホステスさんは三人か四人いた。私たちも三人か四人だった。二十年も前のことなのではっきり覚えているのはプロデューサーのK、そして私。30歳ぐらいの顔立ちがはっきりしたホステス、そして20歳ぐらいのおとなしいホステスの四人。
「ねえ、指名してよ」
そう頼んでいたのは顔立ちのはっきりしたホステスであった。
「だめだよ」
頼まれるたびにKは即座に断った。
たしかに指名すると金額が高くなる。プロデューサーという仕事から来るものだろう。Kの金銭感覚は徹底していた。そうでなければやってこれなかったのだろう。
美しい女性にお願いされて即座に断るというのはなかなかできることではない。私は頼もしさを感じた。
「じゃあなにか飲んでいい?」
「ははは。だめだよ」
ふつう、「指名してよ」「なにか飲んでいい?」という問いかけに客は「いいよ」と答える。大きいところを見せたいという気持ちと、断ったら先の展開がなくなるという恐れがあるからだ。先の展開というのはなかよくなり、なんとなく好きになり、もしかしたら男女の関係に突入できるかもしれないということである。そんな虫のいいことは滅多にない。いや、ないのだろう。