葬儀の形の多様化に伴い、骨つぼや墓石、仏壇に至るまでが、これまでの伝統に捕らわれない、故人の個性を伝えるオリジナルな形態が選ばれるようになって来た。となると、当然、その流れは棺桶にも及んでいる。これまで棺桶と言えば、材質は主に木製、その形は彫刻があしらわれるか布を貼るくらいのシンプルなものだった。しかし今、棺桶はデザイナーによってデザインされ、目的により様々な形態を持つようになっている。そんな今どきの棺桶事情をご紹介したい。
■ドイツの葬儀社による棺桶アート
日本でも最近は、プロのデザイナーによる「デザイナーズ棺桶」が増えて来ているが、海外では棺桶はもはやアートの域に達している。ドイツのHaller社は、近年、デザイナーによる棺桶展示会を開催し、シュトゥットガルトのナイトミュージアムへも棺桶デザインを出展している葬儀会社だ。
Haller社のホームページでは、展示会に出展された、独自のテーマを様々なデザインで表現するデザイナーたちの棺桶を見る事が出来る。死ぬまでの一年ごとに、その年を表す色を塗って行く未完成の棺桶、長い人生を表す毛糸で外側が覆われた棺桶、故人の足を温めるための靴下が備えられたソファー型棺桶、林業従事者の最後の休息の場所として、本物の丸太から作られた棺桶、もはや棺桶の形状を取っていない繭型棺桶、緑の蔦に吊るされたブランコのように揺れるかわいい真っ赤な棺桶は、ブランコが人生の浮き沈みを表し、棺桶に付けられた翼が天国への導きを現している。このような芸術活動は、Haller社が故人と遺族の気持ちに寄り添う事を何よりも重視している事の現れだろう。
■機能性を追求する日本の棺桶
海外の棺桶がデザイン重視ならば、日本では近年、棺桶の機能性が重視されている。その一つが「プリント棺」だ。合板製の棺の表面にプリントを施すプリント棺は、海外では華やかなプリントが主流だが、日本では檜や桐などの木目調のプリントが人気を集めている。
アートの域に達したドイツの棺と機能性を追求する日本の棺
2019.06.05 19:00
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