天才テリー伊藤対談「小林清志」(3)俺の特別な俳優はJ・コバーンだね

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天才テリー伊藤対談「小林清志」(3)俺の特別な俳優はJ・コバーンだね

テリー 昔は収録時に何か失敗があったら、どうしていたんですか。

小林 全部撮り直しだね。今みたいにデータを切ったり貼ったりできないから、手回しでフィルムをカラカラカラって頭まで戻して、また最初から演じる。例えば、こんな有名な話があってね。

テリー え、何ですか。

小林 とある作品のラストで、墜落した飛行機の搭乗者たちが丘の上で救援を待っているわけです。岩肌に夕陽が差した、実にきれいな場面にヘリコプターが飛んでくる。そこに「あ、ヘリコプターだ!」というセリフが入って、物語は大団円を迎えるわけですよ。ところが、そのセリフの担当が若いヤツで、ラストを自分が締めるということで、すっかり緊張しちゃっているわけだ。

テリー でしょうね。最後をトチったら最初からやり直しだから。

小林 もう「ラストなんて来ないでくれ!」みたいな顔して待っているわけよ。それで、いよいよ向こうからヘリコプターがバタバタバタって飛んできた。そしたら、そいつ「あ、ヘコヘコ、ヘコヘコ!」って。

テリー アハハハ! ヘリコプターが言えてない!

小林 「バカモン! 頭からやり直しだ!」って怒られて、また40分くらい同じ演技をするというね。またよくある話なんだけど、一度そういう状況に陥ると、また「ヘコヘコ」ってやっちゃいがちなんだよな。

テリー 一度失敗しちゃうと、次はもっと緊張しますからね。

小林 地獄、地獄。若くなくたって、最後のセリフを言うヤツはみんな心臓バクバクですよ。

テリー しかし、さっきも言いましたけど、今や声優は若者の憧れの職業になっていますよね。

小林 うん。

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