組織内のコンフリクト(紛争・対立)は様々な場面で起こるが、特に気を付けたいのが上司と部下の間のコンフリクトだ。
これまでも世代間における価値観のギャップは散々指摘されてきた。「〇〇世代」と括って考え方をまとめてしまうのは乱暴なことだが、世代ごとに考え方の傾向があることを感じたことがある人もいるだろう。そんな“世代間の価値観の違い”が「上司」と「部下」という関係の上でコンフリクトをつくってしまっているという。
26歳の吉田晴香さん(仮名)は2年前に入社した株式会社サクセス(仮名)の総務課で福利厚生の企画業務に従事しているが、なかなか企画が通らない。
課長の近藤さん(仮名・49歳)は、吉田さんから提出した実施要領に対して矢継早に質問を重ね、突っ込みを入れていく。そして、吉田さんはだんだん表情を曇らせていき、目に涙を浮かべる。
こうした厳しい指導は「パワハラ」と受け取られることも多い。しかし、経営・人事コンサルタントの各務晶久氏は、安直に「パワハラ」と片付けてしまうのは「共感以前に、思考停止によるジャッジだ」と指摘する。その上で「双方の視点から、対立構造を解き明かし、その解消につなげたい」とする。
では、吉田さんと近藤さんはなぜ対立したのか。各務さんはこの2人と面談をして、それぞれの視点の違いとその着地点を探った。
その視点の違いは明確だった。
吉田さんは「上司は部下を助けてくれる存在」だと考えていた。仕事が上手くいかないのは教育してくれないから。不備ばかり指摘し、提案したら潰される。部下の育成責任を自覚していないとまで指摘をした。
一方、近藤さんは「上司は敵、俺を越えていけ」と考えていた。プライドが高く、理解していると思っても実は理解できていないことが多い吉田さんは、仕事の成果物も粗く詰めが甘いという評価をしていた。その上で上司である自分が最初の関門となり、「敵である上司をいかに攻略するか」と知恵を張り巡らせるように仕向けたのである。
各務氏はここで2人の「上司の役割」に対する認識に大きなズレがあることを指摘する。