現状、医療法人を設立する場合、持分なし医療法人しか設立できないこととされています。持分とは出資を意味しますので、この医療法人は、出資のない医療法人ということになります。株式会社のように、出資を発行する法人については、原則としてその出資を有する株主の利益のために法人は活動することになります。しかし、医療法人は、医療という公益的なことをやるための法人ですので、持分なしが妥当ということで、このような制度になっています。
この制度改正は、平成19年度の医療法改正で創設されましたが、それ以前は持分ありの医療法人も認められていました。このような医療法人は、現状経過措置型医療法人として当分の間存続することとされ、一定の要件を満たすことで、持分なし医療法人に移行できることになっています。
■移行には贈与税の問題
持分なし医療法人に移行する場合、大きな問題になるのが贈与税です。例えば、出資された方が複数いるとします。そのうち、1名が出資を放棄すると、出資者が減少するため残りの方の出資の価値は大きくなります。具体例を申し上げると、時価1億円の医療法人の持分を2名で均等に持っていれば、それぞれの持分の価値は5千万円ですが、片方が放棄すれば1億円に増加します。このような価値の増加に対しても、贈与税の対象になり、結果として放棄しなかった者に贈与税が課税されます。
このようなことがないよう、持分なし医療法人に移行する場合には、出資者全員が同時に持分を放棄することが原則です。こうすれば先の問題は生じませんが、別の問題が生じます。それは、医療法人に対して贈与税が課税されるリスクがあるということです。
贈与税の特例なのですが、持分のない法人に対して贈与や利益供与などがあった場合、その贈与者の親族などの贈与税の負担が不当に減少すると認められる、一定の要件(不当減少要件)を満たす場合、その持分のない法人に対して贈与税が課税されるとされています。出資者全員が持分を放棄する場合、その持分の利益は医療法人に移転することになりますので、この規定の対象になる贈与や利益供与にあたります。
持分なし医療法人への移行で問題となる贈与税の対策と注意点を税理士が解説
2019.09.05 19:00
|
相談LINE
ピックアップ PR
ランキング
総合
社会
1
医療現場の「見えない負担」を減らすには──人手不足の地域医療でAIが果たす役割
TREND NEWS CASTER
2
若者の「梅離れ」に挑む異業種出身社長の逆転発想――規格外梅は資源になるか?産地が直面する「価値再編」
TREND NEWS CASTER
3
工場の外へ広がる「自動化フロンティア」――滋賀の中堅FA企業が挑む”another FA”は普及するか
TREND NEWS CASTER
4
なぜ鼠径ヘルニア手術は「入院」が主流なのか――日帰り年500件超のクリニックの試み
TREND NEWS CASTER
5
地方医療は「治す」だけで維持できるのか、「点」から「面」への分かれ道
TREND NEWS CASTER
6
鎌倉大仏の背中に空いてる〝穴〟の正体 「背部スラスター」との珍説に3.5万人破顔も...真相は?高徳院に聞く
Jタウンネット
7
〝ちいさな夏〟が閉じ込められた風鈴が、ずらり 京都・正寿院の「風鈴まつり」の清涼感がたまらない【6/1~9/30】
Jタウンネット
8
老舗そば店は地域に何を”残す”のか――茨城・常総、66年続く食堂が抱える宿題
TREND NEWS CASTER
9
ハードからソフトへ移行する運送業界 老舗70年企業が進める事業再定義と同族外からの代表交代
TREND NEWS CASTER
10
大好物を見たワンコさん、キラキラお目めで〝喜びの舞〟 可愛すぎる反応に5.4万人もん絶
Jタウンネット