木久扇 最近、そちらの協会(落語芸術協会)の(三代目柳亭)小痴楽さんとかウチの弟子の林家木りんとか、イケメンていうんですか、そういう噺家目当てに、楽屋の出口で女の子がチョコレートや花を持って待ってますよね。(五代目古今亭)志ん生師匠や(八代目桂)文楽師匠が出てくるのを女の子が待ってるの、見たことがない(笑)。
鶴光 約1年前に「昭和元禄落語心中」(2018年・NHK)ちゅうドラマがヒットしたり、かつては長瀬智也が主役の「タイガー&ドラゴン」(2005年・TBS系)もあって、若い女の子が寄席に来るようになりました。上方では「ちりとてちん」(2007年~2008年)ってNHKの朝ドラのおかげで、女性の噺家、ぐっと増えましたで。
木久扇 なるほど。
鶴光 12年前、木久蔵の名を息子さんに譲って、「笑点」で名を公募しましたよね。
木久扇 私の顔と声は浸透しているから、どうなってもこれ以下には落ちない。木久蔵の名を倅に渡したら話題になるって、ま、計算したんですね。
鶴光 親子でダブル襲名披露て、落語界では初めて。息子さんにとっては、昨日まで親父やったのが、きょうから師匠です。
木久扇 貴乃花のこともあって心配してたから、「国技じゃないから」って言ったんです。
鶴光 二代目林家木久蔵に対して厳しいでっか?
木久扇 全然。履物はそろえろとか、目上の人が箸をつけないのに食べるなとか、前座は客に向かってニコッとするなとかぐらい。
鶴光 前座の頃、「マクラを振るな。すっと落語に入れ」て言われました。それから、自分の師匠のこと、おもしろおかしく話すのもダメでした。「誰もお前なんか聴きに来てないんや。そんなもんで笑わそうなんて思うな」て。