Lentink Lab/Stanford Univ.
地球に住む生物たちは、生き残るためその構造や機能を特化させてきた。人間がそこから着想を得て新しい科学技術を開発することを「バイオミメティクス」と言う。
そして今回、新世代の飛行マシンのモデルが開発されたようだ。
鳥は空を飛ぶときに、翼を広げたり、閉じたりしながら、その形を変えている。ガチッとしたボディのドローンよりも機敏に飛び回れるのは、こうした可変翼があるおかげだ。
アメリカ・スタンフォード大学の研究グループは、翼の開閉を制御するハトの関節を真似してみることにした。こうして誕生したのが「ハトボット(PigeonBot)」である。
・鳩の体の構造を参考に
エンジニアで生物学者でもあるデビッド・レンティンク氏らは、既に死んでいる鳩の翼を参考に、ハトボットの開発にあたった。これを曲げたり伸ばしたりして、ハトが翼の形状をどのように変化させているのか分析した。
そして、人間でいう”手首”と”指”の関節を曲げ伸ばしすることで、羽の方向を制御し、翼の形状を決めていることを突き止めた。
ハトなどの鳥は、飛行中に手首と指の関節を曲げることで、羽をたたんだり、広げたりと翼の形状を変化させる。こうした制御によって乱気流の中でも小回りを利かせることができる。L. Matloff et al/Science 2020
この知見に基づいて作られたのが、本物のハトの羽を植え込まれたハトボットだ。もちろん、その手首と指の部分は、ハトの死体観察から明らかになった可変翼機構を再現したものだ。
レンティンク氏は、ハトボットによってこれまで不可能だった、鳥のような翼の制御が可能になったという。