忙しいときについつい疎かにしてしまうのが睡眠。
また、寝付けない、いい睡眠がとれないなど、睡眠の悩みを抱えている人も多いだろう。
その結果、仕事中にボーッとしてしまったり、うっかりミスを犯してしまった経験は多くの人が持っているはず。
ただ、実際には睡眠不足はもっと恐ろしい事態を引き起こす可能性がある。脳の機能を低下させて認知症を引き起こしたり、記憶力を低下させることが、最新の睡眠研究で明らかになっているのだ。
■睡眠不足の時、脳で何が起きているか『脳が若返る最高の睡眠』(小学館刊)では、脳研究の第一人者である脳内科医の加藤俊徳氏が、脳という視点から睡眠問題を解説する。
寝不足が続くと、どんなことが身体に起こってしまうのか。寝不足によって、脳には以下の5つのダメージを与えると説明する。
1.脳の老廃物を効率よく排出できない
2.海馬を傷つけて記憶力が低下する
3.成長ホルモンが出ずに若さを失う
4.早朝にドーパミンが出ず、やる気が起きない
5.脳と体に炎症を起こす
例えば2つ目の「記憶力の低下」については、睡眠中にも記憶の定着が行われる。
そして、ドイツ・リューベック大学のディケルマン氏らの報告によれば、ノンレム睡眠の中で大脳まで休息する深い睡眠である「徐波睡眠」のステージが、一時的な記憶を保持している脳のネットワークから、長期的な記憶保存をする他のネットワークへの記録の転送を促進していることがわかってきたという。
これまで、記憶の定着は浅い眠りのレム睡眠に行わるという考えが一般的だったが、深い睡眠も必要であることが分かってきた、と加藤氏。
「寝る間も惜しんで勉強する」のではなく、「ちゃんと睡眠をとりながら勉強する」ほうが、実は勉強したことをちゃんと記憶できているのかもしれない。
では、どのように寝不足対策をすればいいのか。