西武鉄道は、運営する所沢市の「西武園ゆうえんち」を100億円かけてリニューアルすると1月23日に発表した。1951年に開園した歴史ある遊園地だが、最大の人気を誇ったループ・スクリューコースターが老朽化のために解体撤去されるなど、施設全体の陳腐化は否めなかった。年間入場者数も’88年度の194万人をピークに減少傾向が続き、2018年度には49万人に激減している。このままでは、廃業が続いている全国の遊園地の仲間入りをするのも、時間の問題とみられていた。
そのなかで西武鉄道は、1人の男に再生を託した。経営破綻寸前だったユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を、ディズニーランドと並ぶテーマパークによみがえらせた森岡毅氏だ。
森岡氏はUSJで、スタッフにゾンビの扮装をさせて、入園者を追いかけ回すことから始めた。アトラクションの改装資金もない経営状況だったからだ。しかし、この企画が若い女性に受け、SNSを通じてUSJの評判が高まった。続けて森岡氏が取り組んだのは、ジェットコースターを後ろ向きに走らせることで恐怖感を高めることだった。カネをかけない改革だ。
そうして入場者数が増え、資金に余裕が出てくると、森岡氏は流行りものに乗る戦略に出た。ハリウッドの街並みの再現という当初のコンセプトを捨て、ハローキティからエヴァンゲリオンまで、何でも採り入れて、さらなる収益拡大を図ったのだ。その収益で作り上げたのが念願のハリーポッターの施設だった。これでUSJの経営は盤石となった。
西武園ゆうえんちは、破綻寸前だったUSJの初期状態とよく似ているが、再生資金が100億円あるだけマシかもしれない。ただ、決して十分ではない。USJのハリーポッターエリアの投資額は、450億円に及んでいるからだ。
しかし、私は森岡氏が再び奇跡を起こす可能性が高いと考える。彼の綿密なデータ分析に基づくマーケティング力だけでなく、追い詰められるほど輝く驚異の発想力に期待したい。
私はUSJのテレビ取材の際に森岡氏と接点があったので、西武鉄道の記者発表後、すぐ彼にメールを出した。返事はすぐにきた。
〈正直、このプロジェクトは最初から難易度は高いです。しかし、だからこそ我々は挑戦することにしました。
森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」 ★西武園に奇跡は起きる
2020.02.13 06:00
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