サスペンスとコメディの融合、ミステリとS Fの融合、などジャンルを超えたり掛け合わせたりしてできる作品が小説でも映画でも、漫画でも存在する。
様々なジャンルの魅力を、互いが互いを相殺することなく共存させるのが、この手の作品においての作者の腕の見せどころ。『魔法で人は殺せない』(蒲生竜哉著、幻冬舎刊)はクロスジャンルの魅力が楽しめる小説集だ。
19世紀のイギリスと思われる舞台で、魔法を使った殺人事件が発生。主人公は、その「魔法」が残した痕跡を追って真相の究明を急ぐ。ミステリであり、ファンタジーでもあるこの作品。キーワードとなるのは「魔法をいかにミステリに組み込むか」である。今回はこの作品の成り立ちについて、作者の蒲生竜哉さんにお話をうかがった。
■魔法×ミステリ×ファンタジー 異色の小説が生まれた背景――『魔法で人は殺せない』は「魔法」と「ファンタジー」が融合したミステリ小説集です。どの作品も単純な謎解きとは違う不思議な風合いで読み応えがありました。この作品を作るにあたっての最初のアイデアがどのようなものだったのかについてお話をうかがえればと思います。
蒲生:今回の本は小説投稿サイトの「カクヨム」で連載していた作品を書籍化したものなのですが、連載するにあたって「カクヨム」の方から「魔法+ミステリ」というお題をいただいたんです。
こういうテーマだとまず頭に浮かぶのが、ライトノベルでよくある「異世界転生」なのですが、僕はあれがあまり好きではなかったので、「異世界転生」はやめようと。どうせなら「19世紀のイギリス」というように、おおまかに舞台を設定して「ファンタジー」の要素を入れて書こうと思いました。それが最初のところですね。
――今回の本が「デビュー作」ということになりますが、小説自体はかなり以前から書いていたとお聞きしました。
蒲生:ブランクはあったのですが、30年くらい前から書いてはいました。