テリー これ、例えば奥さんはご覧になって何と言ってくれてるんですか。
角川 いや、それがね、まだ見てないんだよ。「劇場で見たい」って、試写会にも来ない。
テリー へぇ。やっぱり大きいスクリーンのほうがいいんですかね。
角川 それもあるし、もう1つは宣伝用につないだフィルムがあるでしょう。わずか3分なのに、それを見て、もう泣いてるんですよ。「おいおい、ここで泣いてたら、お前、劇場でどうするんだ」って。
テリー アハハ。でも、僕もちょっとわかるのは、この映画、ご家族の影響も大きかったんでしょうけど、角川さんの本質ですよね。
角川 あぁ、鋭い。俺もこれが本当の俺だと思うんだよ。今まで言わないできたけど、自分のいちばん根っこのところにある姿。
テリー そうですよね。急に出てきたわけでも何でもなくて。
角川 うん。それ、女房も気づいてるんですよ。今回、女房と子供を撮影現場に呼んで、見学させたんですね。そうすると本当に気楽に、リラックスして「よーい、スタート!」なんてやってるわけ。それを見て、女房が「本当にあなた変わったわね」と。
テリー それまでは絶対に外で見せなかった姿なんでしょうね。
角川 いや、さすがテリーさん、鋭いな。女房はともかく、それを第三者から指摘されると思わなかった。
テリー いやいや、だから角川さんね、ずっとこれが最後の作品だって言ってるでしょ。でも、僕はそんなことないと思うんですよ。
角川 あ、そう?
テリー だって「みをつくし料理帖」の原作小説はシリーズで、今回の映画で描いたのはほんの序盤じゃないですか。