何年か前の話だ。前の職場にいた同期の友人の結婚式に参加したら、同席していた他部署の部長さんから声をかけられた。
「競馬、興味ない?」
とりあえず「興味がなくて」と返答するのは面白くない女子に思えて、「行ってみたいと思っています」と食いつくことにした。
ということで次の週末、府中競馬場こと東京競馬場まで出かけることになった。指示されたとおり、府中競馬正門前駅を降り、待ち合わせ場所へ。
そこで待っていたのは部長さんと、小さい背丈の男子。どうやら甥っ子らしい。勘のいい人ならもう理解できたと思いますが。そう、なぜか競馬場で待っていたのは、カジュアルなお見合いだった。一つ補足しておくと、残念ながら見合い相手はジョッキーではない。
■図らずも「にわか競馬女子」デビュー物語
「さあ行こうか」と初めて競馬場に足を踏み入れることになった。人込みを避けて向かうのはA指定席。最上のS指定ではないものの、上から2番目のA指定席。
通路を抜けて、エリアに入ると、目の前に広がるのは緑の馬場。その景色は「清々しい」という言葉がぴったりで、こんな人工物があるのかと驚いた。とにかく広くて美しい。遠くに馬の姿が見えた。「ここどこ? 日本?」って気分。
◇気になる見合いと馬券の結果
小さい背丈の男子は、かなり競馬に慣れているようで、馬券の買い方も優しく教えてくれた。少しシャイだけど、静かそうな感じ。
300円分くらい馬券を買って席に戻るとレースが始まった。
と、突然、それまで静かだった彼が立ち上がって急に「させ~」とかなんとか叫び始めた。え、何? ここ、結構アッパークラスな席じゃなかったっけ、と回りを見渡したが、やっぱり叫んでいる人はいないし、何なら、立ち上がっている人もいない。
勘が良くない人でも分かると思うが、その後、小さな背丈の男子と私が会うことはなかった。馬券が当たっていたかどうかも思い出せない。
■2回目の「にわか競馬女子」体験は?
それからしばらくして、同僚たちからナイター競馬に誘われた。