「公式発表はどれもこれもウソ」と訴える陰謀論者の頭の中とは

| 新刊JP
「公式発表はどれもこれもウソ」と訴える陰謀論者の頭の中とは(*画像はイメージです)

私たちが、日々触れている膨大な情報の中から、真実らしきものを見抜き、起きていることの全体像を把握することは、年々難しく、そして手間がかかるようになっている

インターネットやSNSは情報発信のハードルを下げたが、その副作用が、フェイクニュースや断片的な情報をつぎはぎして作りあげた陰謀論が飛び交う今のウェブ空間である。

特に陰謀論は、「ケネディ大統領の暗殺はCIAによるもの説」「月面着陸は捏造説」「ダイアナ妃は事故死ではなく殺害された説」など、古くから存在している。今はそれが可視化されやすくなったことで、様々な人の目に止まり、拡散力が増したということなのだろう。今も昔も変わらないのは、陰謀論のとりこになってしまう人の心理である。

■あらゆる「公式発表」は「権力者が大衆に信じ込ませたいウソ」なのか

ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ客員研究員のロブ・ブラザートン氏による『賢い人ほど騙される『賢い人ほど騙される 心と脳に仕掛けられた「落とし穴」のすべて』(中村千波訳、ダイヤモンド社刊)は、こうした人々の思考回路の特性を挙げている。

一つは「表向きの話を嫌う」点だ。陰謀論は基本的に、巷に出回っている言説の裏側に秘められた真実を「暴く」というスタンスが取られる。そこには、政府や政治家、警察といった権威者への不信が常に介在している。具体的には、陰謀論を発信する人、それを信じる人は「当局が発信する表向きの話は、すべて彼ら大衆に信じ込ませたいストーリーなのだ」と考えるのだ。

もちろん「表向きの話」を鵜呑みにするのは危険だが、これは程度の問題だろう。あらゆる「公式発表」を「真実を隠蔽するためのカモフラージュ」と見なしていては、かえって真実を見失ってしまう。

■すべてのものはコントロールされている?

陰謀論者の世界観はきわめて単純だ。
世界の権力者や、あるいは影の支配者は、世界を思いのままに動かすことができる、と信じている。

しかし、実際の世界は様々な人が様々な思惑で動き、誰もが誰かと相互に影響を受け合っている、複雑なものだ。

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