「公式発表はどれもこれもウソ」と訴える陰謀論者の頭の中とは (2/2ページ)
そんな複雑な世界を思うままに操ることができる人(あるいは集団)など存在しえない。どんなに能力が高く、計画的で、組織的に人員を動員できる組織でも、メンバー全員の精神状態までを把握することはできない以上、「想定外の事態」も「予期せぬトラブル」も必ず生じる。思いのままに世界を動かすことなどできないのだ。
■誰が利益を得るのか陰謀論者がよく使うワードが「誰が利益を得るのか?」だ。
ある出来事に裏事情がありそうだと感じた時、「その出来事で誰が得をするのか」を考えることでことの真相が見えてくる、ということである。そしてその結果、「得をする」のが民主的に選ばれたリーダーや医療関係者、あるいはメディアである、という結論に至ったりする。
ただし、世界は善か悪かにはっきりと色分けできるものではないし、現実は「得をする人」を追ったら行き着いた人がある出来事の「仕掛け人」だったというシンプルな構図で表せるものばかりでもない。「善か悪か」「得をしている=裏で糸を引いている悪人」といった単純な図式で物事をとらえやすい人ほど、陰謀論とは相性がいいのだ。
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いまや世界の隅々にまで行き渡っている陰謀論。
情報に対して疑り深くあるのは現代では必須のリテラシーであり、その意味では陰謀論者とそうでない人の違いは紙一重だともいえるのだが、とはいえ疑り深さがあまりに行き過ぎると自分の身の回りのことを何も信じられなくなってしまう。「陰の支配者が牛耳る世界」も地獄だが、こちらもまた地獄だろう。
溢れかえる情報に踊らされずに、どうやって物事の本質を掴んでいくか。本書が私たちに示唆するものは大きい。
(山田洋介/新刊JP編集部)