「あの人、いつも『おとなしい』よね」
こう聞いた時、皆さんはその人に「物静か」「控えめ」と言った印象を受けると思います。
もちろん間違ってはいませんが、それは言葉の由来からすると一側面に過ぎず、本来「おとなしい」という言葉にはもっと色んな意味が含まれていたそうです。
そこで今回は、古典をひもといて「おとなしい」という言葉の由来を調べ、その諸説を紹介したいと思います。
「大人らしい」様子を表す「おとなしい」、ところで大人の定義って?「おとなしい」という言葉を漢字で書くと「大人しい」となりますが、これは単なる当て字ではなく、本来「大人らしい、大人のような」様子を表す言葉だったようで、現代なら「大人びた」「早熟(ませ)た」というニュアンスの方が近いでしょうか。
「お待ちなさい!」大人顔負けの「おとなしき」天才少女・小式部内侍。小林清親「教導立志基」より。
しかし、大人っぽいと言われても大人の定義にも色々あるので、この機会に「おとな」の語源も調べてみましょう。
大きくなった人だから「大人」……誰もがそう疑わないであろう「おとな」ですが、仮に「お」は大(おお)の訛り、「と」は人(と。