雄大なメコン川が貫く美しいタマサート(自然)の国ラオス。「東南アジア最後の秘境」とも称されるラオスだが、その魅力はあまり日本では知られていない。
2016年から2年間、JICA(国際協力機構)シニア・ボランティアとして、ラオスの首都ビエンチャンに滞在し、ラオス情報文化観光省観光マーケティング局で活動。主に日本市場向けにラオスの観光の魅力をPRした森山明氏が、ラオスの魅力を文章と写真で紹介するのが『不思議の国のラオス』(森山明著、彩流社刊)だ。
外国の街を訪れたときの楽しみの一つが、市場の散策だ。市場からは、そこで売られている商品だけでなく、建物や売る人々の接客まで、その町やその国の伝統的なスタイル、その土地柄を感じさせてくれるからだ。
ラオスにもそんな市場がある。ビエンチャンの町にはいくつもの大きな市場があるが、森山氏が紹介するのが、町の中心部にあるタラート・クワディン市場だ。そこで売られているのは、畑で採れたての野菜類、農家の庭でつい先ほどまで生きていた豚や鶏たち、近くの川で獲ったばかりの魚類など、第一次産品ばかり。
これは、東京のスーパーマケットなどのように、圧倒的な数の加工品類が並ぶスペースの片隅に、選別されて見た目の良い野菜類が並んでいる風景とは全く違う。同じトマトや唐辛子でも、形も大きさも色も不揃いなものが、山と盛られている。
また、売り手も日本と違う。タラート・クワディン市場の売り手は、畑を耕して野菜を作り、鶏、豚、牛を飼う農家の女性たちであり、川で魚を獲る漁師の女性たち。特別なセールス手法や話法も使わない。自分たちが育てた野菜や家畜、獲った魚を、まるで物々交換のように市場に並べているのだ。
また、ラオスの首都を離れても個性的な市がたっている。ラオスの国土の約7割は山地。その山の中腹にも、高地にも村があり、人々が住んでいる。山中の峠に、簡易な柱と屋根だけの吹きさらしの建物があり、それが山の村人たちの市場。