日本では昔から、さまざまなモノやコトを人間に見立てて表現する擬人化カルチャーが盛んです。
捨てられたモノたちに憑いた九十九神たち。『百鬼夜行絵巻』より
古くは鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)や九十九神(つくもがみ)など、動植物は言うに及ばず道具などの無機物に至るまで、多彩なストーリーが今日もどこかで生み出されています。
そんな中、今回は日本文学史上に名高い童話作家・宮沢賢治(みやざわ けんじ)の短編童話「シグナルとシグナレス」を紹介。
シグナルとはその名の通り鉄道信号機、シグナレスはその女性名詞。互いに愛し合う鉄道信号機の物語は、どんな展開を見せるのでしょうか。
身分違いの恋に悩む二人は……舞台は賢治の地元である岩手県・花巻駅。この駅は東北本線と軽便鉄道(現:釜石線)が発着しており、本作世界では東北本線>軽便鉄道という格差が存在するそうです。
「若さま、いけません。これからはあんなものにやたらに声を、おかけなさらないようにねがいます」
※本文より。