シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Oさん(鳥取県・50代男性)
30年以上前、新聞奨学生だったOさんは大忙しな日々を送っていた。
ある日、いつものように朝の配達をしていると、お世辞にもキレイとは言えない作業服のおじさんに声をかけられて......。
<Oさんの体験談>
今から30年以上前、高校を卒業した僕は、親に負担をかけたくないという思いと、自立のために、新聞奨学生になり大阪の専門学校に通う事にした。
それまで親に頼りっきりで、病院にも市役所にも一人で行ったことがなかった自分が、親戚も友人も誰もいない環境で始めた新生活。自分にとっては過酷でした。
「おい、兄ちゃん」と呼び付けられ...まずは右も左もわからない町で、250から300軒近くの配達先を覚える事からスタート。学校に通い始めると、朝はまだ暗い2時には起き、授業を途中で切り上げて午後3時からは夕刊配達。配達が終われば折り込み作業。集金に拡張(営業)と毎日毎日、学業と仕事でヘトヘトだった。
もうダメだ、もう止めよう。学校も仕事も投げ出そう、と思っていたある寒い冬の日。
いつものように朝の配達をしていると、お世辞でもキレイとは言えない作業服を着たおじさんに「おい、兄ちゃん」と呼び付けられた。
その辺りはあまり環境の良く無い地域だったので、嫌な予感がした。
それでも「はい」と答えて恐る恐る近寄ってみると、おじさんは「兄ちゃんどこから来たんや」と聞いてきた。僕は「島根県です」と一言答えた。