なぜかうまくいった満州事変
戦前の日本というのは、歴史全体でいえば現代から見てそれほど大昔ではありません。
しかし政治史ひとつとってみても、天皇の位置づけが今と大きく異なっている点や、軍隊が存在している点などが現代とあまりにも違いすぎて、当時の歴史感覚をつかむのは難しいところがあります。
一方で、当時の天皇と軍隊の関係を知っておかないと理解できない事柄も多く、有名な満州事変もそのひとつです。
満州事変とは、1931年9月18日に関東軍が満鉄(南満州鉄道)の線路を爆破し、それを中国軍の仕業として報告したことから始まった一連の出来事です。
柳条湖事件と呼ばれる最初の事件を口実に、当時の関東軍は満州全土を占領し、1932年に満州国を建国しました。
ただ、柳条湖事件や林銑十郎による「越境」など、満州事変は基本的に関東軍などがやらかしたトンデモ行為で、本当ならうまくいくはずがありませんでした。誰もが予想しなかった幸運な偶然やそれぞれの思惑が偶然にいい方向に作用したように見えます。
そして、そんな中でも理解に苦しむのが、満州事変と当時の天皇の関係です。