旗本・御家人専門の金融業者
『鬼平犯科帳』の「決闘」では、のちに長谷川平蔵の密偵になるおまさが、盗人の引き込み役として札差の「大月」に住み込みで働いていました。
この札差とは何かと言うと、幕臣の旗本・御家人を客とする金融業者です。江戸時代中期に商工業が発展すると、それに伴って金融業も発達していきました。こうして登場したのが札差です。
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現代の銀行に通じる江戸時代の「両替商」の仕事とは?なぜ両替が必要だったのか?旗本・御家人の大半の給料(緑米)は蔵米で支払われていましたが、この蔵米(給料)の受け取りや売却の代行を行っていたのが札差でした。
ところが、米の値段は年や時期によって変動します。また江戸時代全期を通じて物価は上昇していったため、旗本・御家人も経済的に困窮するようになりました。
本来、札差は代行した業務の手数料で利益を得る業者だったのですが、こうした状況を受けて、預かっている蔵米を担保に武士にお金を貸すようになります。こうして札差は金融業者になっていったのです。
札差の金利は高く、年利は15~18%だったといいます。
ところが、やがて借金を返済できない旗本・御家人も現れるようになりました。
このような中で、武士という立場を利用して借金を踏み倒そうとする者も出てきます。