9月のJICAホームタウン事業の撤回以降、各地の自治体には外国人関連を巡る事業への抗議や問い合わせが殺到している。11日放送のNHK「クローズアップ現代」はその実態を取材し、外国人との共生について考えた。
北海道江別市役所にはパキスタン人への抗議や問い合わせが450件以上寄せられている(6日時点)。きっかけは真偽が不確かなYouTubeなどSNSからの情報だ。「パキスタン人に土地を奪われる」といった投稿が9月から相次いだ。
人口12万人の江別市に224人のパキスタン人が暮らしており、多くは中古車解体業を営んでいる。大規模な中古車オークション会場があるためで、解体工場が密集している地域は“パキスタン自治区”と呼ばれている。
市内に住むある女性は「あいさつもするので、気さくな感じで悪い印象は一切ない。騒がれるのは迷惑だ」と憤りを隠せない様子だ。また、番組で取材したパキスタン人はいずれも在留資格を持ち、中には高校生で来日してから10年以上暮らしている人もいた。彼らは「言いたいことはたくさんあるが、今は何を言ってもたたかれるだけ」と諦め気味に話していた。
デマが飛び交う発端は、パキスタン人の工場の立地問題だ。建物の建築が制限される市街化調整区域にいくつかの工場があり、違法状態になっていた。オートバイ販売業を営む男性は「出てってくれとは全く思わない。(立地に)違法性があれば、市が厳しくすればいいだけ。それは日本人だろうが外国人だろうが関係ない」と話す。現在、パキスタン人経営者らは工場移転を検討し始めている。
自治体や団体・企業などに寄せられた誤った情報による抗議や問い合わせは、全国で62に及ぶ。中には事業が中止や延期になるケースも出ている。
社会学が専門の成蹊大学・伊藤昌亮教授によると、外国人問題といえば以前は騒音やゴミ出しという具体的な不満から出発していたが、「我々の税金が外国人に使われる」という不満に転化されたという。さらに、そうした“不満”が“不安”に変わっていった。犯罪が増える不安、土地が乗っ取られる不安、自然が壊される不安など、妄想とも言うべき壮大なストーリーに変わっていった。
「江別は象徴的なケース。違法建築というファクトはあるものの、それがイスラム教徒に侵略されるという壮大なストーリーになっていった」(伊藤教授)
最近は、ネットを中心にわずかな事実が拡大解釈されて、フェイクへと増長していくケースが目立つ。
広がる外国人不安に現場の声は わずかな事実が拡大解釈されてフェイクに変化
2025.11.13 08:00
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