蔦屋重三郎のお抱え絵師から出発し、やがて江戸時代を代表する「当代一の絵師」となった喜多川歌麿(きたがわ うたまろ)。精巧な筆から描き出される豊かな表現力で、多くの人々を魅了し続けています。
今回はそんな歌麿が描いた一作「見るが徳(とく)栄花(栄華)の一睡」シリーズ「娘の夢」を紹介。果たしてどんな世界が描かれているのでしょうか。
喜多川歌麿「見るが徳栄花の一睡」上半分。山賊に脅され、女を守るために自分の身体を差し出す男。
絵を見ると右側に粗野な男が……これは山賊かと思われます。
左側にはひざまずく男と、その背中で泣く女。山賊が持つ刀に脅されて、言われるままに従うしかありません。
どうやら男女が山中を旅していたら、山賊に襲われて身ぐるみを差し出そうとしている……そんな情景でしょうか。
気になるのは山賊の表情と、口元のよだれを拭うような左手の仕草。これはもしかして、山賊の目当ては身ぐるみ以上に「男の身体」なのかも知れません。
「へへへ、こいつぁそそられるぜ。おい旦那、命が惜しけりゃさっさと脱ぎな!」
帯をほどく男の仕草や、屈辱とためらいの入り混じった表情。くぅ~っ、たまらんぜ!(by山賊)
……という夢を見ている女。というのが、この絵の全体像です。
男性同士の絡み合いを見たり想像したりすると興奮してしまう……きっと彼女は、そんな性癖をお持ちの腐女子(ふじょし)に違いありません。