「一世一代の大勝負でした」――。
茨城県在住の50代女性・Hさんが振り返るのは、10代の頃の思い出。
自宅まで帰る手段がなくなった彼女は、見知らぬ青年の車に乗せてもらうことになり......。
<Hさんからのおたより>
今から40年前、私が17、18歳の高校生の頃の話です。
その日、東京に遊びに行っていた私は、最終に近い電車で水戸駅に帰って来ました。
家までは、そこからバスで40分以上かかります。楽しかった気持ちでバス停に向かうと、待っている人は誰もいません。遅い時間だし、と深く考えずに時刻表を見ると、最終のバスは30分程前に発車していました。
母親に相談してみるも...歩いて帰ることも出来ないので仕方なく、迎えに来てもらいたいと家に電話を入れました。
遅い時間だったから、中々出てくれません。何度かかけ直すうちに、やっと母が出てくれたので事情を話すと、父は既にお酒を飲んで寝てしまっていました。
母は元々、免許自体を持っていなかったので迎えは無理です。所持金もあまりなかったので、タクシーで帰って、着いた時点で払ってもらおうと聞いてみたのですが、「そんなお金はないから」と電話を切られてしまいました。
私がいけないのですが、「年頃の娘にそれはないでしょう」と怒りを覚えました。
帰る術がない私は、どうしようかと暫く通る車の流れをただじっと見ているしかありませんでした。
さほど時間が経たずに一人の男の人が声をかけてきました。
優しそうな青年に声をかけられて困っていた私は見ず知らずのその方に事情を説明しました。すると、車で来てるから乗せてくれると言うのです。
勿論信じる訳にはいきません。今は一人だけど、車を回してきたら何人か男の人が居て何処かに連れて行かれてしまうのではないか、と想像出来る限りのことを考えてみました。
そして、帰りたい気持ちはあるけれどお断りすることに。すると、「何もしないし、ただ送ってあげるから」と言うのです。
先程までは余裕が無かった私も、初めてその方をよく見てみました。