ペルー通のライターがオススメするマチュピチュの歩き方。前編は、「王道コース」と「スタンドバイミーコース」を紹介しました。最後の3つ目は、マチュピチュ観光を全身で満喫できる「インカ道トレッキングコース」を紹介したいと思います。
【No.3】とことん堪能できる「インカ道トレッキングコース」
電車やバスではなく、世界的にも有名なトレッキングコースである「インカ道」を歩いてマチュピチュを目指すコースです。500人の入山制限もあり、ハイシーズンは5か月前に予約でいっぱいになることもあるほど大人気のコースでもあります。
1泊2日のショートコースもりますが、一般的な3泊4日のほうが断然オススメ。古代の人たちが通った古道を45km歩きながら周辺の遺跡をめぐるルートは、1日目よりも2日目、2日目よりも3日目と、徐々に遺跡の規模が大きくなり、数も増えていくんです。マチュピチュへと近づいていることを文字通り体感できるのは、3泊4日のインカ道トレッキングならでは。1日5〜8時間のトレッキングはハードですが、アンデスの景観も楽しめるので爽快感は言葉では表現しきれないほどです。インカ時代の高い技術を感じ、400年以上前に思いを馳せながら、一歩一歩かみしめて歩いてみてください。
ということで、マチュピチュを最大限に満喫したい人にピッタリなのがこれ。
・インカ道トレッキング3泊4日のツアーに参加してマチュピチュ入り
では、実際のルートを紹介していきますね。
【1日目】5時間ものトレッキングもハイキング気分で快適
まずは早朝にクスコを出発し、バスで出発地の〝82km〟地点へ移動します。ここで入山手続きを済ませ、同行するスタッフと顔合わせ。ツアー客はたった8人なのに、スタッフは総勢12人。ガイド1人とコック2人、残りはポーターです。追加料金を支払えば、重さ制限はありますが荷物を持ってもらうことも可能ですよ。トレッキングの途中で持ってもらう荷物を増やすと料金がかなり割高になるので(ポーターの人数を増やせないため)、不安な人は最初から頼んでおくほうがいいでしょう。このスタッフを合わせて〝入山制限500人〟なので、実際にトレッキングに参加するツアー客は200人強というところでしょうか。それだけ、貴重なルートでもあるんです。
初日は標高2600mの地点から3000mまで登るのですが、なだらかで歩きやすい道を5時間歩くだけなので楽勝。道中の花々を愛でながら歩くハイキングは清々しく、空気も大変おいしい(が、ちょっと薄い気もする)。
3泊4日の3泊はすべてテント泊ですが、自分で設営する必要はなく、ポーターが先に到着して準備を整えておいてくれます。テントの前にはお湯を入れた桶があって、手足を洗ったりできます。至れり尽くせりで、想像以上に快適ですよ。
【2日目】状況一変! 3分進んで3分休憩の繰り返しに……
5時起床で6時出発。高山病対策に毎朝コカ茶を入れてくれるのですが、最初は飲みづらいと思ってたこの味がだんだんクセになってきます。
2日目は、デッドウーマンパスと呼ばれる4200mの峠越え。日本じゃ体験できない標高です。酸素の薄さと急勾配とが重なって、昨日とは状況が一変。かなりきついんです。3分歩いて3分休む。そんな超スローペースで一歩一歩進むのがやっとといとう感じです。昨日は和気あいあいとおしゃべりして歩いていたのに、今日はみんなひたすら無言(笑)。ですが、景色は壮大ですよ。雲の上を歩くようにして登頂したあとは、今度はひたすら下る。下りは呼吸器系も多少ラクになり、初めて目にする高山植物を楽しむ余裕も出てきます。
そして昨日よりだいぶ早く、14時にはキャンプ地到着。みんな軽く高山病っぽいので、昼寝するなどしてゆっくり休みます。
夜には、空が覆い被さってくるような、満点の星空を堪能できますよ。
【3日目】体力は限界だが1日中続く『ラピュタ』の世界に感動
昨日の行程がだいぶハードだったので、もう文字通り峠は越えたのかと思っていたら大間違い。ガイドによれば、今日も相当なハードコースとのこと……。一瞬萎えるが、たちこめていた霧が晴れ、昨日越えた峠の稜線が青空にくっきり浮かび上がるのを見てテンションは上昇。よし、今日1日がんばれば、マチュピチュはもうすぐそこだ!
そんな3日目は標高3800mまで、点在する遺跡を見ながらのトレッキング。アップダウンをくり返しながら、かなりの規模の遺跡を「これでもか!」というくらい見て歩きます。真っ白な雲や霧が山を覆う景色は秘境感たっぷりで、時折合間から遺跡がのぞいたりする瞬間なんてまるでラピュタ。正直、そんなことで吹っ飛ぶような疲れっぷりではないですが(苦笑)、明日のマチュピチュへの期待はぐんぐん高まっていきます。
【4日目】全身の毛が逆立つ眼下に広がる絶景
トレッキング最終日も朝は早いです。4時に起き、まだ暗い中を出発します。展望ポイントに登って神々しく山々を照らす朝日を拝み、あとは2600mの太陽の門(インティプンク)まで一気に下る。体力的にはラクですが、筋肉痛の脚で踏ん張るのが大変です。
遺跡を見つつ2時間ほど歩くと、インカ時代の入り口である太陽の門に到着します。ここは初めてマチュピチュを一望できる絶景ポイント。ここにたどり着くことを目標に、4日間歩き続けてきたのですから、高鳴る鼓動を抑えることができません。門をくぐると眼下には、まさに秘境ともいうべき山々と雲。そして霧の中から悠然と、マチュピチュが姿を現します。その姿は息を呑むほど美しく、ようやくたどり着いたんだという感動で、全身の毛が逆立つほどです。
歩いて歩いてようやくたどり着いたマチュピチュは、ほかの手段でたどり着いたマチュピチュとはまた異質。トレッキングに参加して「行かなくてもよかった」と思う人はきっといないでしょう。
あまりのキツさに気持ちが折れることもありますし、3日目の怒濤の遺跡シリーズを見たら、「このままマチュピチュ見なくてもいっかなー」なんて気になったりもします。ですが、やはりマチュピチュは別格です。3泊4日のトレッキングというプロセスを経て、古代インカを全身で感じたあとに見るマチュピチュは超オススメですよ。
悠久の時を経て現代に残るマチュピチュ。あなたは、どのコースを選択しますか?
(取材・文/尾崎稚)