遊びの『人間力』 沖田修一(映画監督)

| 日刊大衆
遊びの『人間力』 沖田修一(映画監督)

「根拠のない自信みたいなものだけはあったし、それをなくさないように大事にしていました」

今回の映画『滝を見にいく』は、自分で言うのもあれですが、正直、あまり劇場でかかる映画のタイプとは違うかもしれません(笑)。7人のおばちゃんが山で迷うって物語なんですけど、役者の半分ぐらいが演技未経験なんですよ。 メインの役どころの人なんて、ロケハンの時に撮影現場の案内をしてくれた妙高市の職員さんですからね(笑)。半分冗談で、「出演者のオーディション受けてみてくださいよ」といったら、本当に応募してきて、気がついたら彼女をメインに映画を撮っていました(笑)。

ほかにも、最後のシーンに登場して、映画を総括する台詞を言うおじさんがいるんですが、彼もただの素人のおじさんなんです。全然、映画の大トリを飾るという自覚がない人がやったら、どうなるんだろうっていう好奇心で、彼に台詞をお願いしました。

映画を撮ることって、僕にとっては一番楽しい遊びくらいの感覚なんですよ。でも、商業映画だと撮るために、莫大なお金がかかるので、そんなことを言っちゃいけないような気がして、普段は口にしていませんが…… 。 たぶん、この感覚は原体験にあるのかもしれません。ぼくが初めて映像を撮ったのは中学生の時だったんです。友達とスキーに行って、雨で滑れない日に、たまたま誰かが持っていたビデオカメラで遊んでいる時、ノリで「映画を撮ろうぜ」ということになったんです。それで『地底人の謎』っていうくだらない映像だったんですけど、みんなでワイワイ言いながら撮ったら、それがすごくおもしろかったんですよ。

それから、家にあったビデオカメラでいろいろな映像を撮って、当時はアナログの時代ですから、ビデオデッキを2台つなげて編集を始めたんです。ものすごく地味な作業で10分の映像をつなぐのも最初は、とても大変で。でも、ダビングのタイミングが掴めると、それもまた凄く楽しくなってハマったんです。そんな体験から映画を観出すと、「どんな作品でも2時間、つながっている!凄いな」と思って。高校生になると、映画ばっかり観ていました。

そのカメラ遊びを、もうちょっと本格的にやってみたいなと日芸(日本大学芸術学部)を受験することにしたんです。

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