「それでも北朝鮮と祖国の架け橋になりたい」 あるスウェーデン外交官の暗くて孤独な平壌ライフ

| デイリーNKジャパン
「それでも北朝鮮と祖国の架け橋になりたい」 あるスウェーデン外交官の暗くて孤独な平壌ライフ

平壌市内でも中心部を除くと夜は非常に暗い。道を歩くには懐中電灯が必需品だ。©José Fernandes Jr.

平壌に駐在するスウェーデンの外交官がスウェーデン国営ラジオに出演して、平壌での生活について語ったと米国の北朝鮮専門ニュースサイトNKニュースが報じた。

体験を語ったのはスウェーデンの外交官アウグスト・ボリ氏。彼は2014年9月より駐平壌のスウェーデン大使館でビザ発行などの領事業務に携わっている。

電気も来ない、水も出ない、不便な平壌暮らし

「漆黒の闇」——彼は平壌をそのように表現した。電力事情が劣悪で夜には多くの家庭で明かりが灯らないからだ。窓の外の明かりと言ってもトロリーバスが通る時に架線から散らす火花ぐらい。それでも家の中よりは明るいのだろうか、子どもたちは外に出て本を読んだり勉強をしたりしている。

彼の自宅には電気が供給されているもののテレビ、パソコン、オーディオ用のスピーカーですら使えないほど電圧が低い。オーブンの温度を200度まで上げるのに2時間、電気ポットでお湯を沸かすのに1時間もかかる。

しかし、電気ポットのことなんか気にも留めない。自宅では水道が出ないからだ。シャワーは自宅ではなく大使館で浴びるしかない。

北朝鮮人の友達ができない

北朝鮮に赴任した当初は多くの人々と知り合ってスウェーデンと北朝鮮の架け橋になろうとした。しかし、何をしようにも常に北朝鮮当局の官僚主義が立ちはだかる。

そもそも北朝鮮の人に自由に会うことも他の地方に自由に行くことも許されなかった。どこかに行くときは「道に迷ってはいけない」という理由で必ず北朝鮮人スタッフやドライバーが付いてくる。

普段顔を合わせる北朝鮮の人といえば大使館の職員ぐらい。彼らとも打ち解けられず仕事の後に一杯引っ掛けることすらできない。

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