安倍政権が持つ「嫌な雰囲気」の正体|岡留安則コラム

安倍政権が持つ「嫌な雰囲気」の正体|岡留安則コラム

 最近の安倍総理をニュースで見るたびに嫌な気分になる。ついでにいえば、安倍総理を番頭として支える菅義偉官房長官もである。二人を青年将校と呼ぶのは不適格かもしれないが、先の大戦に向けて日本帝国主義が戦争と海外侵略に向けてイキイケドンドンで前のめりになっている状況と重なって見える。

 二人とも、頑固で冷徹で、国民に対する思いがよく見えない。官僚の悪しき側面も併せ持つタイプであることは確かだが、目指す先は国民の安全や幸せではなく、国家の体裁とメンツに集約される。しかも、何が何でも米国頼みという歴史的な依存心はいささかも揺るがない。これが、敗戦国日本のトラウマからくるものならばまだしも、あれから70年たった世界情勢に関する分析としては盲目状態だ。

●盛り上がらない統一地方選、民主主義の根本が崩れかけない危機的な状況へ

 すでに、米国が世界の国々をリード、支配する時代ではない。最近の事例で言えば、中国が持ちかけたアジアインフラ銀行にしても、当初の予測に反して57か国の参加が集まり、米国一辺倒の日本は世界の流れから零れ落ちる可能性もでてきた。米国は中国主導の国際金融システムに対抗することが、国策としてベストと判断しているのだろうが、国際的に言えば、米国の一元支配はすでにあちこちで行き詰まりをみせている。イスラム国やウクライナしかりだ。

 とはいえ、安倍政権の至上命題だった集団的自衛権行使に向けた安保法制も公明党幹部や高村副総裁らによる与党協議でほぼ合意を見ている。唯一の歯止めと思われた自衛隊派兵における事前の国会決議も建前としては認識されたものの、自民党側の要求により、あいまいな結論となった。公明党の顔を立てつつ、実をとった自民党の圧勝という図式である。

 統一地方選も後半戦に入ったが、盛り上がりに欠けること甚だしい。無投票当選の地方も少なくない。地方の人口減少や過疎化という事情もあるのだろうが、民主主義の根本が崩れかけない危機状況だ。もっと、問題なのは、スキャンダル議員を抱える安倍政権の支持率が落ちないことだ。いまでも45%ほどの支持率を保持する安倍政権には大きな疑問がある。これまでの自民党政権ならば、崩壊していたはずである。

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