第二次世界大戦の終戦から70年を迎える今年、“終戦”をテーマにした映画やドラマが多く公開される。 その中でも、もっとも重厚なのが原田眞人監督の『日本のいちばん長い日』だろう。 かつて、大宅壮一著『日本のいちばん長い日』を原作にした映画が岡本喜八監督により、戦争の記憶もまだ鮮やかであっただろう1967年に公開されている。 終戦70年を迎えた今年、『突入せよ! 「あさま山荘」事件』『クライマーズ・ハイ』など社会派映画の旗手として定評のある原田監督が、半藤一利著『日本のいちばん長い日 決定版』を原作とした作品のメガホンを取った。
“正義”と“正義”の戦い
連合国がポツダム宣言を発表した1945年7月27日から、日本政府が“無条件降伏”し玉音放送の放送する8月15日までを中心に描いた本作品。
山崎努演じる鈴木貫太郎内閣がポツダム宣言を受託しつつも、天皇の尊厳を失わず“無条件降伏”を決定するまでの緊迫した内閣会議と、玉音放送録音。その玉音放送を止めようとする陸軍将校たちによるクーデター未遂“宮城事件”が同時並行で描かれている。
作中で役所広司演じる阿南惟幾陸軍大臣は、自身の終戦への思いと、陸軍としてのプライドにより“本土決戦”を願い若手将校たちの思いの間で葛藤する。
特に松坂桃李演じる畑中健二少佐は、日本の勝利を疑わず“宮城事件”の主犯格と変貌していく。
現代に置き換えれば「自分を見失い、自ら凶器となった若者」と捉えられそうだが、「当時の若者は、日本の勝利を本当に願いこのような行動をとってしまったのではないか?」と感じずにはいられない。
筆者は、詩人でもあった寺山修司がかつて綴った「“正義”の最大の敵は“悪”ではなくて、別の“正義”である」という言葉を思い出した。