ついに開幕!見直される「コミケ」の統制力…「モンスト」など混乱イベントと何が違うのか (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

「近年のイベントは極端に人が集中するケースと閑散としてしまうパターンに分かれています。また、長引く不況の影響で『無料』や『限定』というキーワードの宣伝効果が高まり、運営サイドが安易に使用するようになっている。これが『行かないと損する』という射幸心のような意識を刺激し、理性的でなくなってしまうことが原因の一つではないかと思われます」(イベント会社関係者)

海外からも評価されるコミケの異常な統制力

 いずれも万単位の人が押し寄せたイベントなのだから、混乱が起きるのも仕方ないという見方もある。

 しかし、コミケは昨年夏の来場者が1日目は17万人、2日目は17万人、3日目は21万人で合計55万人。ケタ違いの来場者を記録していながら、これまで大きな混乱が起きたことはない。

 通常は大規模イベントの行列整理は鉄柵やロープを使用するが、コミケはいずれもナシ。スタッフの誘導と参加者の自主性によって数万人が整然と並んでいる。しかも、スタッフはプロの警備会社ではなく基本的にボランティアであり、そのあまりの見事さがテレビ番組で取り上げられたことも。

 参加者のイライラを軽減するために「ブロックごとに分けて移動」「止まる時は止まる、進む時は一気に進む」などといったノウハウで列が形成されており、何時間たっても崩れることは全くない。

 これは海外でも驚きをもって評価されており、列さばきの見事さをYouTubeなどで目にした外国人たちは「カオスの中の秩序が素晴らしい」「アメリカは日本から学ぶべき」「こいつら宇宙人だろ……」などといった声を上げている。

 最近の失敗したイベントとコミケの根本的な違いはどこにあるのだろうか。

「コミケはイベント慣れしている人が多く、しかも参加者は『自分たちのイベント』という意識が強い。お客様気分ではないのでイベント運営に協力的で、練度が高く秩序が保たれやすい環境です。運営サイドも徐々に参加者が増えていった歴史の蓄積があるため、しっかりと準備している。また、ゴネれば得するという世界ではないので自然と参加者のモラルが高まる」(オタク系ライター)

 近年はコミケでも参加者のモラル低下が指摘され、禁止されている徹夜行為の横行や悪質なパフォーマーが現れるといった問題を抱えている。しかし、それでもこの規模のイベントとしては奇跡的な統制といえるだろう。今後、大規模イベントを予定している企業はコミケから学ぶべきことがたくさんありそうだ。

(取材・文/夢野京太郎)

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