一度は旅行で行ってみたい!? 独自の文化を発信し続ける「ジョグジャカルタ」 (2/3ページ)

FUTURUS

歴史上、ジャワ島で勃発する戦争はどれも王位継承騒動が激化したもので、宗教対立が理由の戦争はまず起こらない。17世紀ヨーロッパであった三十年戦争のように、異なる宗派同士が血みどろの殺し合いをするということはあり得ないのだ。


■  色落ちしない染め物

ジョグジャカルタといえば、やはりバティックである。

蝋を使った染め抜き技法の製品は、防染糊を用いたそれよりも耐久性が高い。そのまま洗濯機にかけても色落ちしないほどだ。このバティックは、他国の染め物職人にとっては長年のミステリーだった。そして様々なコピー品が生まれている。

日本も例外ではない。江戸時代、オランダの商船によってもたらされたジョグジャカルタのバティックは、江戸で大流行した。「洗濯ができる染め物」は、文化の円熟期を迎えていた日本人の芸術感性に大きなインパクトを与えたのだ。世界有数の繊維製品大国である日本の職人は、様々な工夫を凝らして和製バティックを作ろうと試みた。だが結局、少なくとも幕末まで蝋けつ染めという発想には至らなかったようだ。

これだけでも分かるように、ジョグジャカルタは近世までアジア地域における「文化配給の土地」だったのだ。もちろんそれは、染め物に限らない。稲作農法から絵画、木造建築、叙事詩に至るまで、マタラムの土地の文化は常に世界へ発信し続けていた。

学問の上での歴史とは、いつも政治史を指す。その視点で言えば、ジョグジャカルタは影が薄い。多大な政治的役割を果たしたアジア地域の王朝は、他にいくつも存在するからだ。だが周辺諸国の文化面でのセクターに影響を与え、しかも現代に至るまでその文化を保持し続けているか否かという点を鑑みれば、ジョグジャカルタに匹敵する地域はあまりないはずだ。

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