「近代戦の先駆け」再注目されるフォークランド紛争 (2/3ページ)
■ エグゾセミサイル発射
サッチャーの対応は素早かった。フォークランド諸島がアルゼンチン軍に占領されたと知るや、すぐさま軍の編成を指示する。そしてそれはブラフではなかった。かつて七つの海を制したロイヤルネイビーの機動艦隊と原子力潜水艦が、大挙してフォークランドに押し寄せたのだ。
イギリス海軍は手始めに、原子力潜水艦コンカラーの魚雷攻撃でアルゼンチン軍の巡洋艦ヘネラル・ベルグラーノを撃沈する。このヘネラル・ベルグラーノは、アルゼンチンの殊勲艦として国民に愛されてきた存在だ。それを323人の乗員と共に氷点下の海へ沈めたのだ。
やはり、世界最強のイギリス海軍にアルゼンチンが勝てるわけがない。地球上の誰しもがそう考えた。
だが、その流れを変えたのは空軍だった。ヘネラル・ベルグラーノ撃沈から2日後、アルゼンチン空軍のシュペル・エタンダール攻撃機がイギリスの最新鋭駆逐艦シェフィールドを捕捉。エグゾセ対艦ミサイルで沈めてしまったのだ。
アルゼンチン空軍の勢いは止まらない。その後も駆逐艦やフリゲート艦、輸送用コンテナ船、揚陸艦を片っ端から轟沈してみせた。中でも増援のヘリコプターと補給物資を積載していたコンテナ船アトランティック・コンベイヤーの沈没は、イギリス議会を大きく揺るがす出来事だった。
これらの攻撃に使用された軍用機は、先述のシュペル・エタンダールとA4スカイホークだ。前者はフランス製、後者はアメリカ製である。特にシュペル・エタンダールに搭載されていたエグゾセミサイルは、アトランティック・コンベイヤーを沈めることにより世界から大注目を浴びた。フォークランド戦争終結直後、あちこちの独裁者がフランスの兵器企業に注文を入れたと言われている。
この戦争は結果として、アルゼンチン軍のフォークランド諸島からの撤退という形で区切りがついた。だがそれは、総力戦の呪縛からようやく解放されたばかりの人類に新たな重しを加えるということでもあった。
■ 戦争は終わらない
フォークランド紛争で一番得をした国はフランスと言われている。