腕に耳を持つ男。自らの腕に第三の耳を移植した芸術家(オーストラリア)
[画像を見る]
オーストラリアのパフォーマンスアーティスト、ステラーク氏は芸術のために自身の腕に第三の耳を移植した。彼はWi-Fi接続マイクを移植し、彼が耳にしたことを世界中のあらゆる場所の人々に聞いてもらうというビジョンを追求している。
「芸術が驚きをもたらすとき、それは面白くなるんです」とステラーク氏はCNNのインタビューで語った。「なぜなら、それが不安、不確かさ、アンビバレンスな感情、身体に世界を再確認させる反応を生み出すからです」
[動画を見る]
The man with an ear on his arm
誰がために耳は生る
半人工物、半人体の耳は、美容整形手術に使われる生体適合性材料のフレームを用いて作られた。耳が腕に定着すると、ステラーク氏自身の組織と血管はフレームと一体化し、彼の身体の一部として生きて、感じ、機能するようになった。
[画像を見る]
今のところ音を聞くことはできないが、ステラーク氏は自分の幹細胞から耳たぶを作り出し、Wi-Fi接続マイクを移植する計画を進めている。首尾よく移植できさえすれば、マイクは常に起動した状態となり、世界中の人々は24時間、365日彼にチャンネルを合わせることができるようになる。
「この耳は私のためのものではありません。音を聞くなら立派な耳が二つありますから。要は、みなさんや私が世界のどこにいても、私の耳が聞いたものを聞くためのものなんですよ」とステラーク氏。耳のマイクにスイッチのオンオフ機能をつけるなど一切考えていないそうだ。彼にとって、耳が電装されて初めて意味を持つようになるのだそうだ。
[画像を見る]
芸術のための耳
45年前に改名したステラーク氏は、豪西オーストラリア州パースにあるカーティン大学代替生体構造研究所(Alternate Anatomies Lab)の所長を務めている。
同氏は、自分の身体で人々とテクノロジーとの変わりゆく関係を表現し続けてきた。そのために、肺、結腸、胃にカメラを仕込み、第三の手でパフォーマンスを行い、天井からフックで自分の裸体を吊るし上げた。
彼の説明の通り、第三の耳は自分の作品の至極当たり前の延長であるのだ。これらはすべて芸術の名の下に行われている。
「パフォーマンスアーティストとして、私はポストヒューマン(人類進化)に特に関心がありまして、つまりサイボーグですよ」と彼。「人間であるということは、もはや単なる生物学的な構造によっては決めれなくなってくるでしょう。おそらくは身体に接続されたテクノロジーによって大部分が決まるようになるんじゃないでしょうか」
[画像を見る]
プロジェクトの苦難
最終的にはロンドンに拠点を置く企業が、ディスカバリーチャンネルの『メディカル・マーヴェリクス』向けのスポンサーとなり実現した。ステラーク氏は、自分のアートに対する猜疑心や倫理的な懸念については理解しているという。
「医学界は基本的にとても保守的なところですし、医療行為は人々を癒し、傷を治す場所なんです」と同氏。まったく健康な芸術家の腕に余計な耳を取り付けるなど、時間と労力の無駄であるという意味で、つまらなく、非倫理的だとみなされるのも致し方ないのかもしれない。
[画像を見る]
家族でさえ、最初は彼のことがなかなか理解できなかったらしいが、次第に理解を示すようになった。また、手術を引き受けてくれた外科医たちとはすっかり仲良くなり、今後も彼のビジョン実現に協力してくれるそうだ。
海外で有名となった彼の作品だが、今ではオーストラリア国内でも認められるようになっており、今年3月には新興実験的芸術で優れた業績を上げたとしてオーストラリア評議会賞が授与された。
「私への批判の中にはアンフェアなものもあります。そうした批判は、詩や哲学、芸術的な実践の価値について理解していません。ですが、普通なら芸術家と関わることがなく、こんなことのために時間やお金や専門技術を無駄にする理由などない人々からのたくさんの善意も見てきました。これが私を元気づけてくれます」
[画像を見る]
via:dailymail・原文翻訳:hiroching
『画像・動画、SNSが見れない場合はオリジナルサイト(カラパイア)をご覧ください。』