【2020年以降の未来予想】10年後の自動車はどうなっているのか

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【2020年以降の未来予想】10年後の自動車はどうなっているのか

この10年はハイブリッド普及の10年だった。そしてその進化系であるプラグインハイブリッド(PHV)や今次世代車と呼ばれる 電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)が実用化し、出揃った感がある。10年前の2005年、クリーンディーゼルが脚光を浴びたが、日本ではハイブリッド車が主流となり、ヨーロッパでもガソリン車を凌駕するまで至らず、ハイブリッドやEVへと注目が移っている。

10年後の未来、自動車の主流はどうなっているのか。過去を振り返りつつ、予測してみたい。


■ エンジン(内燃機関)自動車はズルしている

いい方に語弊があるが、実際にEV開発者はこう愚痴るという。

「エンジン車はいいよなあ、エネルギーを全部自分の中に貯めこまなくていいんだから。」

EVはそのエネルギー源をバッテリーの中に蓄える必要があり、走行中は外からまったく供給を受けない。エンジン自動車は一見燃料、ガソリンや軽油だけで走っているように見えるが、実はそれだけではない。それは空気だ。

エンジンは空気を燃料と混ぜて爆発させることでエネルギーを取り出すが、この空気は走行中車外からとりたい放題なのである。もしこの空気をすべて自分の中に貯めこまなければならないとするとどうだろう。高圧の酸素ボンベを中に抱える必要がでてくるし、もし排気ガスも車外に出してはならない、となれば排気ガスを貯めこむタンクも必要である。

そうすると今のようにコンパクトな自動車を作ることは不可能で現実的ではない。EV開発者の溜め息は、走行エネルギーすべてを自動車の中に貯めこむことが前提のEVならではの苦悩の表れだ。


■ EVのジレンマ

エンジン自動車のフルタンクでの航続距離はだいたい400km以上、昨今の燃費のよいディーゼル車やハイブリッド車ではエコ運転すれば1000kmに達するものも少なくない。一方EVの航続距離はスペック上150~200km程度で、実走行すると約半分近くまで落ち込んでしまう。

特にエンジン自動車の場合高速道路では燃費が伸びるのに対し、EVの場合は逆に高負荷運転が連続することとなり、電費は悪化してしまう。この点からも航続距離という面でEVは不利である。

EVで航続距離を伸ばすには、電池を大量に積み込むしか今のところ解決策がない。テスラ・モデルSではその手法により公称航続距離500km~600kmを達成した。しかしカタログスペック上であり、実際に走ってみると相応に悪化する。

このバッテリーを大量に搭載するとEVは大きく重くなる。運動性能を高めるために高出力モーターを搭載すると、電費は悪化し、さらにバッテリーを追加、さらに大きく重くなるというジレンマに陥る。まさにエンジン自動車の仕掛けたワナにはまってゆくのだ。


■ 急速充電器の少なさと充電時間の長さ

エンジン自動車のワナはまだ続く。それは充電だ。

ガソリンスタンドと同じく、EVを充電するための充電ステーションが各所に設置されているが、その数は多くない。EVが普及しなければ行けば充電できるが、昨今はEVが増えてきて、先客のために充電待ちが発生することも少なくない。

ここで問題となるのは充電時間の長さである。

だいたいのEVは急速充電30分で80%まで充電可能となる。タッチの差で先客がいて30分充電すると30分待ち、そして自分が30分充電するとなんと1時間も待つことになるのだ。それでいて航続距離は実質100km前後(一般的なEVの場合、テスラは公称270km)増えるに過ぎない。

その点ガソリンスタンドは驚異的だ。ガソリン給油速度は約 0.5L/秒のため、ほぼフルタンクの50L給油したとしても、たった100秒しかかからない。例え先客がいたとしても、数分待てばすぐに順番が回ってくるし、そもそもスタンドがたくさんあるために順番待ちすることが少ない。しかも1度給油すれば400kmも走ることができる。

このためEVはドライブや旅行で途中充電すると計画が大幅に狂ってしまう。EVがロングレンジでの走行に向かないのは、これも大きな理由だ。

結局のところ家庭で夜のうちに充電しておき、途中充電することなく帰ってこられる範囲を行き来するのが無難である。


■ EVはエンジン自動車のリプレースにはならない

100年かけて熟成されたエンジン自動車に10年そこそこのEVが太刀打ちできないのも仕方がない。しかし破壊的イノベーションとは短期間に起きるものであり、10年かかってこの状況であれば、EVはイノベーションではないのが明白である。

特に3.11の影響で電力供給が安泰ではなくなったことは、EVに対して大きな逆風となった。


■ EVはショートレンジ、カーシェア向き

EVがエンジン車の置き換えにならないのであれば、新しい使い方を模索、提案すべきだろう。ロングレンジに向かないのであれば、コミューターとして途中での充電は前提としないショートレンジの移動にフォーカスすると活路が見出せる。

ルノーと日産が取り組んでいるTwizzy/NNMC(チョイモビ)が4輪の小型EV、一見バイク風だが、屋根がつき2名がヘルメットなしで乗車可能だ。免許は自動車運転免許が必要。

http://www.choi-mobi.com/

カーシェアの利用形態で、ステーションにはいつも満充電の車両が待機、利用可能だ。もちろん途中充電することなく、ステーションに戻せばいいだけ。

カーシェアであればステーションで待機する満充電のEVを乗り継いでいけば、充電時間を待つことなく足を延ばすことも可能だ。こういった使い方はガソリンスタンド設置要件が厳しいエンジン車ではできない芸当であり、EVならではの可能性だろう。


■ エンジン車、ハイブリッド車も安泰ではない

ハイブリッド車の普及やガソリン車の燃費向上により次々とガソリンスタンドが潰れていっている。燃費が全体で2割向上すれば、ガソリンスタンドの売上が約2割落ち込むと考えれば、自明であろう。そしてロングスパンで考えればガソリン供給が先細ることは明確であり、代替エネルギーにシフトしなければならないのは社会全体の課題である。

こうなってくると現在主流になろうとしているハイブリッド車も安泰ではない。ガソリンを給油するために長距離移動しなければならないからだ。


■ PHV、レンジエクステンダー付きEV、FCVの可能性

外部充電が可能なPHV・PHEV(プラグイン・ハイブリッド)は現実的な解決方法だ。ハイブリッドで使用する電池の容量、サイズを大型化し、家庭や外の急速充電器に対応することで、EV同様ゼロエミッションでショートレンジを走行可能だ。電池が切れたらエンジンが始動して走行、充電とロングレンジまでカバーできるので、旅行やドライブでも心配がない。

(参考:プリウスPHV開発責任者に聞いた「なぜPHVに注力するのか」 | FUTURUS(フトゥールス) http://nge.jp/2014/07/10/post-1137)

同様の構造にレンジエクステンダー付きEVもある。PHVとの大きな違いはレンジエクステンダーは発電専用エンジンとなり、駆動はしないという点である。発電専用エンジンのため構造がシンプルで、小型化できるのがメリットである。

FCVは構造的にレンジエクステンダー付きEVに近い。モーター駆動である点は共通で、電気を作るためのレンジエクステンダー(発電機)の代わりに燃料電池を使う。


■ ガソリン車と同様にズルいFCV

燃料電池とは水素をエネルギー源として、空気中の酸素と反応させて電気を作るものである。貯めこむわけではないので、電池というと語弊があるが、こちらもガソリン車と同様酸素を大気中から自由に取り込むことができるという点でズルをしている。ただガソリン車と違い排気ガスは出さず、出すのは反応によってできたH2O、つまり水だけというクリーンな点が売りだ。


■ 水素ステーションと水素の生成方法

FCVは水素タンクをもち、水素ステーションで水素を充填して走行する。充電時間は数分、航続距離は600kmとエンジン車同様の使い勝手が売りだ。ただ課題なのが水素ステーションの設置数と、その水素をどのように生成するかだ。生成方法はそのまま小売価格に直結するだけに、無関心ではいられない。

水素ステーションの普及は卵とニワトリだという。つまり水素ステーションがなければFCVは普及しないし、普及しなければ作れない、というものだ。そこで国と自動車メーカー、エネルギー産業が協調することで水素社会到来に向けて進んでいる。

(参考:20年先を見越したトヨタFCV「MIRAI」インタビューまとめ | FUTURUS(フトゥールス) http://nge.jp/2014/12/18/post-89032)

水素の生成方法は石油精製過程で出る水素を利用するものと、電気分解で生成し海外から運搬する方法などあるという。電気を作るために電気を使うことになる電気分解は一見不思議であるが、電気は貯蔵・運搬に向かないため、貯蔵・運搬に向く「水素」に変換していると考えると納得がいく。

ただいずれにしても水素が一般的になるのは少し先の未来になりそうだ。


■ まとめ

戦後ガソリン供給が不安定だった時代、安定供給された電気を背景に日産の電気自動車「たま」が活躍していた。ガソリン供給が安定的になると自然とエンジン自動車へとシフトして消えて行った。

次世代自動車の主流はテクノロジーだけではなく、エネルギーインフラや社会情勢に大きく依存する。化石エネルギーの安定供給が継続するか、代替エネルギーがとってかわるのか、デッドヒートが続くといっても過言ではない。ただ地球温暖化の問題はいよいよもって現実化しており、早急な対応が必要である。

このような情勢下で未来を見通すのであれば、5年後あたりまではハイブリッドをプラグイン化したPHV、レンジエクステンダーEVが主流となり、10年後はポツポツとFCVを町でみかけるようになる、といった具合だろうか。

パワーユニットだけではなく、自動運転技術の進化も逃せない。EVとの親和性が高い自動運転技術の普及はEVの普及を後押しする可能性があるからだ。また安全性確保の面から自動車よりもトラックやバスといった運輸でも自動運転技術の採用が進むだろう。

いずれにしても大きな変革期を迎えている自動車社会。今後も注目していきたい。

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