「3Dプリンター製の殻」で暮らすオシャレな次世代ヤドカリ

FUTURUS

「3Dプリンター製の殻」で暮らすオシャレな次世代ヤドカリ

巻貝の中に体を収め、貝殻を背負って移動するヤドカリ。自らのすみかを背に生活するユニークな生態がよく知られている、ポピュラーな海辺の生き物のひとつだ。海遊びに出かけた先で目撃し、時間を忘れてしばらく眺めていた、といった経験がある人も多いのでは。

ところで、ヤドカリは身体の成長に合わせてより快適な貝殻に“引っ越し”を行うが、時には力の強い個体に“やど”を追い出されることがあるという。そうしたヤドカリに3Dプリンターで制作した透明な“やど”を渡す作品シリーズを発表しているのが、アーティストのAKI INOMATAだ。

AKI INOMATA – AKI INOMATA Official Site- (C)AKI INOMATA


■ 旧フランス大使館の敷地からイメージを飛躍

世界各地の都市を模した“やど”を背負ったヤドカリの姿が印象的な作品の数々は、2009年に開催された在日フランス大使館の解体イベントの展覧会への出展を期に制作をスタートした。09年10月まで『フランス』だった旧フランス大使館の敷地が、以後50年間『日本』になり、その後再び『フランス』になるという話に衝撃を受け、“やど”を交換する習性を持つヤドカリへとイメージを発展させたそうだ。

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はじめ中を丸くくり抜いただけの球をヤドカリに渡したところ、ヤドカリからは見向きされず。そこで、INOMATAは彼らがすみかにする自然の貝殻の内部構造をCTスキャンで計測。3DCGで制作したデータを3Dプリンターで出力することで、ヤドカリに選ばれる“やど”を制作に成功した。初めて自分の作った「やど」に移ったヤドカリを発見した時は、「嬉しいような悲しいような複雑な気持ちになった」と振り返っている。

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■ 生き物との協働作業によって成立する作品

作品シリーズについては、同じ土地で平和に国が入れ変わっている事実と、背負う“やど”によって見た目が変わるヤドカリに共通項を感じたとも語っている彼女。私たちを取り巻く日常とは異なったレベルから“人間世界”を見渡す、このようなオリジナルな視座はどこからもたらされているのだろうか。

東京で不自由なく生まれ育つ一方で、自分の存在の不確かさな感覚を持ち続けてきたというINOMATA。ステートメントでは、自らの問題意識について「この劇場化した都市を破り、<私たち>と、<私たち>の外の世界とを混ぜ合わせることで、不確かな存在となった自己を再発見し、欠落したリアリティーを取り戻すことが出来るのではないだろうか」とつづっている。

そして自らの作品が持つ力を次のように謳い上げている。

私の作品は、生き物との協働作業によって、成立している。人間以外の生き物のふるまいと、人間の世界を重ねあわせることで、私たちを異なった角度から捉え直し、私たち自身の姿を再発見しようとしているのだ。(中略)この試みは、閉塞した私たちの世界に風穴をあけ、大都市を徘徊する虚ろな現代人にとっての新たなリアリティーの創出につながると、私は信じている。

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現在、東京・お台場で開催中の『お台場夢大陸』の仮設水族館では、『わたしてみる』シリーズのヤドカリを生体展示中している。興味のある方はぜひ体験してみてほしい。

【参考・画像】

※ AKI INOMATA – AKI INOMATA Official Site

※ (C)AKI INOMATA

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