もうちょっとで常温じゃん!「超電導の新記録」はマイナス70℃! (2/3ページ)
もうちょっとで常温じゃん!

(C)Thomas Hartmann
超電導を起こした素材は硫化水素。ただし条件はきわめて特殊だ。この硫化水素は、通常はガスなのだが、それを超電導金属に転換するのに、なんと1,500万バール(約1,480万気圧)という高圧をかけるというのだ。これは地球内部コアの圧力の半分くらいという超高圧なので、かなり非常識ではある。
とはいえ、この研究によって、常温超電導への道がさらに開けたと研究者達は見ているようだ。この結果は理論的には予想されていたものであり、「理論的には、超電導転移を起こす温度には限界はなく、われわれの実験は、常温超電導という夢の実現に動機づけを与えられるものです」と、研究チームのMikhael Eremets博士はいう。
この実験において、超高圧を実現するために、研究チームは1立方センチよりも小さい室を容易した。側面にはふたつのダイヤモンドチップが備えられ、それが鉄床のように働き、試料に継続的に圧力をかけていく。そのセルには試料の電気抵抗を計測するための接点も備えられた。
この硫化水素が比較的高い温度で超電導を起こす要因は、水素原子のふるまいにあると研究者たちは見ている。水素原子は軽いため、金属格子のなかでもっとも高い周波数で振動をする。この金属格子の振動が超電導を左右し、水素を多く含む物質は比較的高温で超電導を起こす。
研究チームは、現在より高温で超電導を起こす物質を探している。「有力な候補となる物質は純粋な水素です」とEremets博士はいう。実際研究チームは水素を使った実験を開始しているという。ただし、そのためには数千万気圧をかける必要があり、そう容易でない。
現在の研究においては、高温での超電導を実現するために超高圧が必要だが、いずれは高圧下でなくても、現実的な温度での超電導が実現することが期待される。