アメリカ・乱射事件再び…続々投入される「新商品の威力」とは

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アメリカ・乱射事件再び…続々投入される「新商品の威力」とは

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アメリカで、また悲惨な乱射事件が発生した。

10月1日、オレゴン州のローズバーグという都市にあるコミュニティーカレッジで男が銃を発砲し、10人以上の死者が出た。「10人以上」というのは、この記事を書いている時点でまだ情報が錯綜しているからで、記事が配信される頃には最終的な死者数が判明するだろう。だがいずれにせよ、アメリカではこうした津山事件のような大量殺人がシーズンごとに発生しているのだ。

もしかしたらこの間にも、また別の場所で乱射事件が起こっているかもしれない。そして飛び交う速報を掻き分けつつ、死傷者が何人出たかという現地警察の発表を待ち、それを母国語に訳して記事を書き……という堂々巡りを、世界のジャーナリストはもう何度も繰り返してきた。

その暗黒のサイクルは、来年も続くだろうと筆者は見ている。しかも、今年よりもさらに加速化するはずだ。

■ まったく新しい拳銃、発売へ

アメリカの銃消音器メーカー『SilenserCo』が今月、衝撃的な新商品を発表した。

何と、消音器内臓のハンドガンである。

『Maxim9』は、同社が満を持して公開した「まったく新しい銃」だ。それまでも消音器内蔵の銃はあるにはあったが、そもそも消音器をつけてしまうと銃弾の発射初速が落ちてしまうという欠点がある。だからこそ、取り外しを可能にして用途に応じて使い分けるということが求められていた。もっとも、ここで言う「用途」の中身を想像するだけでも恐ろしいが。狩猟やスポーツ競技に消音器など必要ない。

メーカーによれば、Maxim9は拳銃としての強力な威力を確保しているという。発売は来年からだが、試射の様子を映した動画がすでに出回っている。

これは海上での試射だが、まず射手の耳に注目してほしい。防音用のイヤーガードをつけていない。発射音も「パスッ、パスッ」という感じで、非常に静かに抑えられている。

銃社会として知られるアメリカだが、実は消音器に関しては厳しい。完全登録制で、多額の費用や認可までの時間を費やす必要がある。消音器自体を禁止にしている州もある。だがMaxim9は消音器ではなく、拳銃だ。その辺りの議論は今後必ず起こり得るだろうが、今の時点でこの製品の流通を阻止できる連邦法は存在しない。


■ 人体を粉々にする

銃関連商品といえば、去年は『RIP』が話題になった。

これは『G2 Research』社が発売した新型銃弾で、その弾頭はまるで笹の葉を束ねたかのような形状だ。RIPは人体の完全破壊を売りにしている商品で、着弾の瞬間に弾頭が鋭い金属片になり内蔵を粉々にしてしまうのだ。

RIPで鶏肉を試写した映像があるが、銃弾の出口に行くに従い傷口が大きくなっているのが分かる。これがもし人間の腹部だったら、切り刻まれた腸が背中から勢いよく飛び出るだろう。

まさに一撃必殺の銃弾だが、この商品を「非人道的」とは決して考えないアメリカのカウボーイたちの精神も凄い。特に南部州は、今も「我々は南北戦争に負けた。だが連邦政府の言いなりになるものか」という考えを色濃く残している。中央の権限から一定の距離を置くということは、要するに州ごとに武装しているということだ。いついかなる時も中央政府が派遣した軍隊と戦えるようにである。

そんな南部州(旧アメリカ連合)の中でも、テキサス州は特に自衛意識が強い。この州の住人に言わせるとアメリカ東海岸地域の人々は「細腕の小金持ち」で、西海岸地域の人々は「軟弱なオタク」である。いつも銃に接し、射撃に親しむことで身体を鍛えている自分たちこそが「健康的なアメリカ人」だと考えている節がある。

そんなテキサス州では、バレットM82が流通している。もちろん、これも合法的な銃だ。50口径の対物ライフルの威力がどれほどのものかは、以下の動画で確認していただきたい。


■ ガンマンの行き先

アメリカのコミュニティーカレッジを日本のメディアは「短期大学」と訳しているが、これは「市民大学」という言い方のほうがより近いのではないか。

年齢や経歴などを問わず、市民の誰しもが学ぶ喜びを共有できる場。それがコミュニティーカレッジである。日本にはない形態の教育施設だ。

人口わずか2万人の小都市にあるコミュニティーカレッジは、市民が学問に打ち込むにはこの上ない環境である。そんな最良の「楽園」が、一瞬にして「戦場」と化してしまったのだ。

もはや、アメリカ人には二つの道しかない。一つは効果的な銃規制法案を連邦法レベルで可決すること。もう一つはアメリカ人全員がランボーやゴルゴ13のようになることだ。全米ライフル協会は「市民みんなが武装していれば、乱射事件を防ぐことができる」と公言している。だが銃というものが生半可な気持ちで扱えるものではないということは、筆者も自衛隊時代に学んだ。アメリカの銃規制反対派は、心も身体もランボーを目指すべきだ。

ただし一つだけ言えるのは、武装した者同士の先にあるのは常に戦いのみである。相手よりも早く銃を抜き、射殺する。それを命果てるまで繰り返す。ガンマンは荒野でしか生きられないのだ。

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※  Fer Gregory / Shutterstock

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