TPP大筋合意を中国人が分析「日本の食とオタク文化が危ない」 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

 TPPが施行されることにより、輸入品が安くなって国民の生活が楽になるといったメリットは多々あるかと思います。ただ、日本の食や文化を愛する僕にとっては、気がかりなこともあります。

 柔らかい和牛や新鮮な魚介類など、日本産の食材は非常に品質が高く、なおかつ衛生的です。僕が訪日した当初、生の魚を食べたり生卵をご飯にかけたりする日本人の姿を見て、危険な食材だらけの中国との差に感心したものです。

 ですがTPPが実施されると、外国産の食材に対する多くの関税が撤廃されるため、日本国内に廉価な外国産食材が大量に輸入される可能性があります。そのような事態になれば、コストカットを求める食品メーカーや外食チェーンは積極的に外国産食材を使用するでしょう。そうなると日本の農業や水産業が淘汰され、大きく衰退するかもしれません。

 さらにTPPにより規制が緩和されることにより、これまで日本では使用が禁止されていた食材が解禁される可能性があります。「週刊文春」が行った調査によると、食材が危険な国は1位が中国、2位がアメリカだったように、現在、アメリカ製の遺伝子組み換え食品の危険性が世界中で指摘されています。ヨーロッパの科学者の論文によると、アメリカ産のトウモロコシを実験用のラットに与え続けたところ繁殖力が低下し、三世代目のラットからは完全に生殖能力が失われたという結果が出たそうです。

 米、トウモロコシなど、現在大量の農作物をアメリカから輸入している中国でも大きな不安が広がっています。こうしたアメリカの危険食材に対し、「アメリカが中国人を絶滅させようとしている!」などと陰謀論を唱える中国のネット民もいますが、アメリカ産以上に危険度が高いのが中国産なので、何を食べても危険というのが現状です。

 意外なものだと食材のみならず、日本独自のオタク文化が失われる可能性もあります。今後日本がTPPに参加すると、「著作権侵害の非親告罪化」が施行されるため、アニメやTVゲームのキャラをモチーフにした同人誌やコスプレなどの二次創作物が著作権侵害として禁止されるかもしれません。さらにネット上のイラストなども一斉撤去される可能性もあり、そうなると漫画家、イラストレーターなど日本国内のクリエイティブ産業は一気に衰退します。実は僕も別のペンネームで同人誌も出版しているため、これは他人事ではありません。

 TPPは、関税撤廃による製品の低価格化、競争激化による国内産業の活発化など、参加国が大きな恩恵を受けることもあるでしょうが、僕としては、日本の大事な食や文化は守って欲しいと願ってやみません。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)

(構成/亀谷哲弘)

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