パン好きの祭典「利きバゲット祭」で、その日焼きたてバゲットを食べ比べ (2/2ページ)
効きバケットをしてみて感じるのは、同じ「バケット」なのにまったく味も香りも食感も異なること。クラストのざっくりとした食感やクーペのもっちり感、全体の塩加減と甘味のバランスで、5種全てがまったく違う世界を作っていた。
また、バターと一緒に食べたり、前菜とともに味わったりすることで風味の印象ががらりと変わる。筆者は素バケットで味わう時には、穀物の味や香りを感じるような甘味の少ない、ハードな食感のものが好みだった。けれどもバターを載せると好みが変わり、マイルドにバランスが整った、全体的に個性が控えめなものを美味しく感じたのだ。
『パンを焼く側も、食べるシーンに合わせて作り方をこだわっています。例えば、うちのBon Vivantではパン以外の物と一緒に食べることを前提として、塩分は控えめにしています』(児玉さん)とのこと。
会場でも「素バケットでは塩味が強いものを美味しく感じたけれど、おかずと一緒に食べるとまったく別の種類の方が合うように思った」など、食べ方によって感じる味わいが変わることに驚いたという声が多く聞かれた。
バケットによく合う前菜とスープもサーブされた。前菜の一品として出されたたチーズは、なんと平岩さんが今日のお客さんたちに食べさせてあげようと、フランスで購入してきたもの。手荷物として大切に機内持ち込みして、用意されたものだった(この説明に、会場からは本日一番の大歓声があがった)。
効きバゲットを楽しむ間は登壇者がお客さんの席を回り、バゲットについてのレクチャーをする時間が取られた。
実は世界一のパン職人は台湾にいる! 知られざる台湾のパン事情
後半はフードコーディネーター石井さんによる、台湾のパン事情についてのレクチャー。台湾はモンディアル・デュ・パンの優勝国であり、庶民派のお店から、1000円以上もするようなパンを売るセレブなブーランジェリーまで、幅広く店舗展開がされているそう。
クープ・デュ・モンド・ド・ラ・ブーランジュリーの、第1回マスター・ド・ラ・ブーランジュリーのパン部門優勝者、呉さん作・ライチと薔薇のパン。日本円で1500円ほど。

石井さんによると、台湾で多く売られているパンの特徴は、卵とバターやラードなどの油がたっぷり使われていること。「カロリーは高いけれど、甘くって美味しい!!」のだそう。写真を見ているだけで、こってりした甘さが伝わってくる。
日本のものと似ているパンも。ただし、日本語表記ではメロンパン。台湾では「パイナップルパン」なのだそう。もちろん、「バゲット」も漢字表記。さらに昭和っぽい雰囲気のパン屋さんの看板を見ると、「布列徳」(ぶれっど)と当て字が!

最後に平岩さんに、バゲットの楽しみ方について教えてもらった。
「バゲットが一番美味しいのは、焼きあがってから6時間の間だと言われています。すぐに食べないのであれば、買って来たら冷凍保存してしまうのが、新鮮さを保つポイントです。」
なお、冷蔵庫保存はパンのでんぷんが劣化するスピードが一番速いとされる温度帯に近いため、 オススメできないそう。
「バゲットはクラストのパリパリ感と、クラムのふわっとした食感の差が大切です。食べる前にトースターで軽く焼き直すことで、焼き立てに近い味わいを楽しめます。」
保存や焼き直しの手間を惜しまないことが、焼き立て本来の味わいを楽しむ秘訣だそうだ。せっかくバゲットに詳しくなったこの機会に、パン屋さん巡りをしてみたい。

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(取材/小松田久美)