え、なんで!? ドロボウから盗品を取り戻すと、自分も犯罪者になっちゃうってほんと?

いつの世にも絶えないのが「盗難」。雨の日の傘(かさ)をはじめ、帰ろうと思ったら自転車がなくなってた!なんてことはよく聞く話。残念ながらしっかり管理するしかなさそうです。
自分で犯人を見つけ出して、盗まれたものを取り戻そう!という気持ちはわかりますが、意外なことにこれは違法行為。自分で解決する自力救済(じりききゅうさい)は法律の原則に反する行為で、盗品を取り戻すと自分も犯罪者になってしまいます。ただし、カバンを引ったくられて犯人が逃走中!のような緊急の場合はOK。現行犯ならお巡りさんじゃなくても「逮捕」もできる、フシギなルールが存在するのです。
■「自分を救え!」は法律で禁止?
盗まれた物を取り返す、知らないひとが家に入ってきたら追い出すのは当然に思えますが、じつは法律の原則に反する行為。法律や警察に頼らず自分で解決する行為は、
・民事 … 自力救済
・刑事 … 自救(じきゅう)行為
と呼ばれ、第○条のように明記されていませんが、法の「原則」として禁止されているからです。
なぜ自力救済は禁止されているのでしょうか? 他人を頼らずどうにかしようという心意気や良し、ですが、復讐も許されることになり、秩序が保てなくなってしまいます。みんなが「オレの正義」を主張すると収集がつかなくなってしまうため、自力解決は禁止、行政機関の判断に任せなさい、となっているのです。
もし、盗まれた自転車を見かけたらどうすれば良いのでしょうか? 「確かにオレのもの」と確信があれば返還を求めるのは構いませんが、
・盗まれたとはいえ、別のひとが所有している
・盗品でも、お金を払って購入したら「そのひとのもの」
など、法律はフクザツ…力づくで奪い返せば強盗になってしまいます。この場合は「盗まれた物を街で見かけた」と警察に連絡するしか方法がないのです。
■緊急なら「違法行為」もOK?
「ひったくり」や「暴行」にあったときはどうすれば良いのでしょうか? 原則を守るなら「110番通報」しか道はありませんが、お巡りさんを待っていたら「手遅れ」になる場合もあります。そこで例外的に自力救済が認められるケースもあるのです。
たとえば犯人を捕まえるためにタックル、いきなり殴られたので反撃、は自分を守るためでも暴行を加えたことに変わりなく違法行為になります。ところが、そうせずに通報している間に逃げられてしまいますし、場合によっては生命に危険が及ぶこともあります。そこで、「本当は違法」だけど「緊急ならOK」とする違法性阻却事由(いほうせいそきゃくじゆう)というルールが存在するのです。
たとえ「他人が被害者」のときでもこのルールは適用されますし、現行犯なら「逮捕」も可能です。逮捕=警察=手錠のイメージを持つかもしれませんが、目の前で起きている「現行犯」なら一般市民が犯人を逮捕!しても構いません。たとえば、
・店員に追われている「万引き犯」を取り押さえる
・暴行を加えているひとを押さえつけてヤメさせる
などは通報しなくてもOKですし、違法行為でもありません。
他人を救うのは構わないのに「自力救済」はダメと聞くと変に思えるかもしれませんが、重要なのは「緊急性」で、目の前で起きていることは例外として扱われる場合が多いのです。逆にいえば、ドロボウを見つけて盗品を取り戻すは「緊急」ではないのでNG、素直に警察に届けましょう。
■まとめ
・犯罪を自分で解決する「自力救済」は、法律の原則で禁止されている
・盗まれたものを見つけても、力づくで奪い返せば自分も強盗になってしまう
・逃走中の犯人を捕まえる、暴行犯に殴り返すなど緊急の場合はOKになる要素が多い
・お巡りさんでなくても「現行犯」は逮捕できる
(関口 寿/ガリレオワークス)