いや~な臭いは実は親ゆずり? 体臭は遺伝するらしい?!
たとえ家族であっても、気になるのがひとの「体臭」。嗅覚が敏感な思春期には「オヤジ臭い!」なんて感じた経験があるだろうが、「体臭は遺伝する」ので、未来の自分もそう思われる可能性・大だ。
ひとはHLA、マウスはH-2と呼ばれる遺伝子を持ち、菌やウイルスに対抗するための「免疫」が生まれ、強い子孫を残すために自分とは異なるタイプを求める傾向がある。識別方法はなんと「体臭」で、同じにおいなら血縁者、違うにおいは「良き伴侶」と、鼻を頼りに選んでいる。家族や親戚に体臭がキツいひとがいれば、自分もそうなる率が高い、と覚えておこう。
■「尿」こそが親子のきずな
ひとの体臭をさかのぼると、HLA(ヒト白血球抗原(こうげん))と呼ばれる遺伝子にたどり着く。この遺伝子の本来の役目は「免疫」の管理で、カゼをひきやすい体質、特定の食品でアレルギーが起きるなどは、ほとんどがHLAのしわざである。免疫は異物に対抗するためのもので、体内に侵入した菌やウイルスをやっつけ健康を維持するのが目的だが、これが必要以上にはたらく状態がアレルギーである。移植手術で聞く「拒絶反応」は最たる例で、おなじ「ひと」の組織であっても、HLAのパターンが違うと「異物」と判断し、からだから追い出そうとする。「遺伝子レベルの話じゃ見分けがつかない」と思うのも当然だが、カギとなるのは「体臭」で、血縁があればイヤなにおい、なければ好ましいにおいと感じるのだ。
ラットの場合はH-2遺伝子がこの役目を果たし、タイプが違うと尿に含まれるにおい物質も変わる。逆に血縁があれば似たタイプ=同じようなにおいとなるので、尿を手がかりに親子関係を識別できる率は81%とのデータがある。これは人間にも当てはまり、赤ちゃんの尿のにおいから「自分の子」を識別できる率は82%と高い。
赤ちゃんを「かわいい!」と思える要素は多くあるが、母親にとっては「おしっこのにおい」がひとつの要因であり、親子のきずなをあらわすものでもある。自分の子を抱き「良いにおい」と感じたら、多分に「おしっこ」が含まれていることをお忘れなく。
■恋人選びは「違うにおい」が決め手
体臭は遺伝するのか? HLAには種類が多く、複雑な組み合わせができるため「絶対」ではないが、両親から遺伝情報を半分ずつ受け取るしくみなので、似たにおいになる可能性は高い。祖先に体臭がキツいひとがいれば、自分もそうなる、と覚悟しておいたほうが良いだろう。
自分と同じにおいなら血縁者と識別できるのに対し、子孫繁栄のうえでは自分が持っていない免疫を取り入れたほうが有利になる。そのため伴侶には「違うにおい」の異性を求める傾向がある。
ラットはH-2遺伝子が違う異性と生殖行動をとる率が高く、つまりは「違う体臭」の伴侶を求める傾向がはっきりと出る。これは強い子孫を残すためで、多くの免疫を持たせたい=HLAが異なる異性、を求めた結果だ。
こうして免疫も増えるのと同時に、体臭が減る可能性もあるが、親と同じ病気にかかりやすい、同じアレルギーを持っている場合は、HLAも免疫も似ていることを意味するので、同じような体臭になる、と考えるのが順当だ。加齢により体臭が変わるとはいえ、親族に「クサい!」など言ってしまうと、いつか自分も言われるハメになるので自粛しよう。
■まとめ
・ひとの体臭は、免疫をつかさどる遺伝子HLAの影響を受ける
・血縁の識別/伴侶にしたい異性を知るうえで、体臭は重要な働きをする
・複雑ながらHLAは遺伝する仕組みなので、親の体臭を引き継ぐ可能性もある