ガセネタが横行する終末期医療…がん温存療法の是非

デイリーニュースオンライン

Photo by MIKI Yoshihito via flickr
Photo by MIKI Yoshihito via flickr

 やまもといちろうです。

 先週来体調を悪くしまして、高熱を出すまでは仕方ないんですが、鼻水に下痢、全身から出る汗、経口補水液を飲んでも飲んでも喉が渇くという素敵な日々を送ることができました。これも神からの試練だと思って乗り越え、神と家内に深く感謝をする次第です。

 また、先般より私自身の家族の問題もありまして、いわゆる終末期医療や介護といった世界は遠い出来事ではなく、現実そのものになりました。これは良いとか悪いとかではなく、人間が人として生きるにあたって、なかなか避けては通れないものであります。ふだん、元気で意気軒昂だった人が、闘病の果てに徐々に力を失っていくというのは、言葉に尽くしがたいものがあります。幸いにして快復の途上に立ち戻れたのは、やはり家族の愛情と努力によるものなのだなという思いを新たにします。

 やはり、家族には長く元気でいてもらいたいという願いは貴重だなと感じるわけですが、そこにはどうしても冠言葉として「可能な限り」とか「状況が許すならば」という前置きがつくのが現実です。

 やまもと家は幸いにして経済的に余力があるので、育児をしながら看病も通院もある程度こなせているのが救いですが、仮に共働き世帯だったとすると、その瞬間に本格的に身動きが取れなくなるのも事実だと思います。家計も育児も介護もと、夫婦だけで両立させることなど不可能です。あるいは、ひとり親世帯だったとき、その親に何かあると詰みます。悲惨なことですが、それも避けられない現実だとするならば、何を救いとするべきなのでしょうか。

 そんな中で、先日「10年前に書いた」とされるChikirin女史の駄文が話題になっていました。

終末期医療について考えよう!

 さっそく、内容を正面から否定する医師からの反論がnoteで展開されるわけなんですが、ちきりん女史も決して頭の悪い人ではないので、やむを得ない誤解や先入観で書き綴ってしまったご自身の間違いを修正し、きちんと10年後の事実として再考再論したものを掲載して欲しいと強く願うところであります。

ちきりん氏の「終末期医療について考えよう!」によせて

 来年、私自身が東京大学での研究をまとめた『首都圏2030』という社会保障費関連の本を出すんですが、そこでも議論されたのが終末期医療の適用率の低さ(DNaRオーダー)と、今後は別の事情で尊厳死も含めた「死に方」の議論はどんどん出てくるだろうと思っております。

 Yosyanさんの記述にも、思わず嘆息してしまうような文章が並んでいます。

2014-03-24 末期がん患者へのDNR不要論

「せめてお別れの挨拶をしたい」という動機は強いだろうなあ。最近では、川島なお美さんや北斗晶さんのがん闘病で、また近藤誠さんによる「がん放置療法」が話題になったりしてましたが、つい先日も大学時代の同窓ががんで亡くなっている側からするとちょっとあり得ないんですよね。

 どうも放置療法については集団訴訟するべきだという話があるらしく、もしも周囲でそのような心当たりがある方は調べてみては如何でしょうか。

患者の〝生きる力〟を蝕む近藤誠医師の「がん放置療法」
近藤誠医師「がん放置」に対抗するためには集団訴訟!!??
「最大の悲劇は、善人の沈黙」 - 勝俣範之・日本医大武蔵小杉病院腫瘍内科教授に聞く◆Vol.2

 ある意味で、科学信仰全盛の現代で、真にご利益があるのは倫理に基づいた献身的な治療を施してくれる専門家たる医師の知識と経験と両手であることは間違いないんですけどね。

 人間の真価というのは、困った時にどれだけのことが自分自身でできるかだけではなく、少数でもしっかりとした味方が身を支えてくれるのか、ということであって、無償の愛を捧げてくれる家族って本当に大事なんだなと改めて思うのでありました。

 まあ、私も数日間高熱でひっくり返っていたのを、クソ忙しいはずの家内がせっせと看病してくれたことに感謝してるんですよね。死ぬかと思ったわ。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

「ガセネタが横行する終末期医療…がん温存療法の是非」のページです。デイリーニュースオンラインは、炎上がん病気やまもといちろう連載などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧