急増する若年貧困層による犯行の実態|万引きGメンの事件ファイル (2/2ページ)

東京ブレイキングニュース

お願いします、助けてください」

「刑務所に行くことはないだろうけど、罰金刑になるかもしれないですね」

「え? 罰金が払えない場合は、どうなるんですか?」

「労役に行くことになりますよ」

 窃盗罪の罰条は十年以下の懲役であったが、二〇〇六年の法改正で五十万円以下の罰金刑が新たに制定された。国は罰金を徴収することで犯行を抑止しようと考えたのだろうが、実際の現場では罰金刑の存在を知らないまま捕まってしまう万引き犯ばかりで、さほど周知されていない状況にある。そもそも金に困り、空腹に耐えかねて食品を盗んだ者に対して罰金を科しても、なにひとつ解決しないだろう。

「それじゃあ、刑務所に行くのと変わらないですね。もうおしまいだ......」

 警察官が臨場するまでのあいだ、より大きな嗚咽を漏らして泣き続けた男は、あえなく逮捕されることになった。警察庁は万引きを規範意識の問題に落とし込み、万引きは犯罪だと訴え続けているが、貧困や空腹は規範意識を超越する。頻発する高齢者による万引き理由の多くは貧困であるが、高齢者を支える立場にあるはずの若い人達の暮らしも同様だとすれば、この国の先行きが不安でならない。

Written by 伊東ゆう

Photo by Thomas Leuthard

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