【法律】戦隊ヒーローも罪に問われる? 「正義」のためとはいえ暴力は犯罪

学生の窓口

ちびっ子に人気の「戦隊ヒーロー」。敢然(かんぜん)と悪に立ち向かう姿に感動した!なんて経験はよくある話。ところが、実在したら「犯罪者集団」になってしまうのはご存じでしょうか?

どんな理由でも他人に暴力を振るえば「暴行罪」になりますが、暴漢にいきなり襲われた! など「身を守る」ためなら殴り返してもOK、刑法でも認められた「正当防衛」なので罪に問われることはありません。ところが、どんな悪人だろうと、探し出して成敗したり武装して対抗すると「加害する意思」と判断され、正当防衛ではなくなってしまうのです。もし合法的に悪と戦うなら、戦隊ヒーローは「警察に通報する」ぐらいしかできないのです。

■殴られたら殴り返せ?

年末になると、残念ながら多くなるのがケンカで、お酒の席が増える=酔った勢いでケンカに発展することが珍しくありません。仲裁にきたお巡りさんに「あいつが先に手を出した」なんて釈明もよく聞く話で、どちらが「先」かが論点にされがちです。これは、

 ・先に手を出した … 暴行

 ・反撃した … 正当防衛

の図式があるからで、「なぐられたのでなぐり返した」は刑法でも認められたりっぱな自衛行為、つまり無罪だからです。

 ・刑法・36条(正当防衛) … 急な「危険」から身を守るための行為は、罰しない

身を守るには他人も含まれますので、一緒にいた友人がいきなりなぐられたら、代わりに自分が反撃しても構いません。

ただし、36条-2では「防衛の程度を越えた行為」はダメ、と定められているので、やりすぎは厳禁。相手を入院させるほどの反撃をすると、いわゆる過剰(かじょう)防衛となり、犯罪となってしまいます。酔ってケンカ、力加減ができずに相手に大ケガを負わせたなんてパターンは、「正当」と判断されない場合もありますので、くれぐれも注意してください。

■ヒーローなのに110番通報?

もし戦隊ヒーローが実在したら、どうなるのでしょうか? 最新の技術で「悪」を見つけ出し現場に急行、男の子なら誰もがあこがれる「活動」ですが、じつは完全なる違法行為…戦隊は「犯罪者集団」になってしまうのです。

正当防衛は他人のためにおこなって良いだけでなく、将来起きそう、つまりまだ起きていないことにも適用されます。ただし「積極的に加害する意思がない」が条件なので、

 ・武器を用意する

 ・相手のいる場所に出向く

などは「防衛」の範囲を超えてしまいますし、まして逃げる敵に追い打ちはもってのほか。いくら地球の平和のためでも、武装して悪のアジトに乗り込んだら、逆に「正当防衛」されてしまう立場になってしまうのです。

また、法の原則として、自分で解決しては「いけない」というルールがあるので、緊急時以外に悪人を退治するのは違法行為、さらなる罪に問われてしまいます。これは自救行為の禁止と呼ばれ、たとえばドロボウ被害にあった場合、ドロボウに出くわしたときは対抗しても良いが、あとで犯人を捜し出し盗品を奪い返してはダメ、の意味で、同様に悪人をやっつけても良いのは緊急の場合に限られ、わざわざ現場に出向くと、ヒーローなのに正義?悪?とビミョウな立場になってしまいます。

もし戦隊ヒーローが合法的に活動するなら、

 ・悪人と戦えるのは、パトロール中に「偶然」出会ったとき限定

 ・武装してはいけない

 ・敵のアジトに乗り込んではいけない

 ・離れた場所から助けを求められたら、警察に通報する…

な感じでしょうか。110番通報しているヒーローを見たら、ちびっ子は幻滅してしまうでしょうので、おとなになるまでヒミツにしておきましょう。

水道橋でボクと握手!

■まとめ

 ・暴力を振るわれたら、反撃しても正当防衛になる

 ・自他を問わず「身を守るため」ならOK

 ・武器を用意するなど「積極的に攻撃しよう」という意思があってはダメ

 ・「自救行為」もNGなので、戦隊ヒーローができるのは110番通報ぐらい…

(関口 寿/ガリレオワークス)

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