【衝撃の事実】ドライブに欠かせない「カーナビ」は最初は軍用だった!

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レンタカーやタクシーにも普及している「カーナビ」。その歴史は意外にも古く、30年以上も昔に日本で生まれたのはご存じでしょうか?

世界初のカーナビは方位磁石と地図を組み合わせた羅針(らしん)盤のようなシステムで、のちにアメリカのメーカーとタイアップし、衛星を使ったGPSに発展、現在の仕組みになったのです。冷戦も終わり、売れなくなったGPS受信機が、カーナビの真の姿なのです。

■重さ9kgのカーナビ登場

世界初のカーナビが登場したのは1981年、いまから30年以上も前に日本の自動車メーカーが開発しました。それ以前にも方角を示すだけのシステムは存在しましたが、地図上に自分の位置を示すものはこれが初めてです。主要スペックは、

 ・6インチCRT(ブラウン管)

 ・16bit CPU

 ・ジャイロセンサー

 ・約9kg

と、現在のように液晶モニタも高性能CPUも普及していなかったため、非常に大きく重い装置でした。いまではスマホにも装備されている「ナビ」との決定的な差は、ジャイロセンサーを使っていることです。ジャイロセンサーで「方向」を、タイヤの回転で「距離」を知り、出発地を起点に現在位置を割り出す仕組みで、当時としては高い精度を誇っていました。難点は「地図」をデータとして持っていなかったため、モニタに地図シートを貼り合わせるかたちで処理していた点で、現在のように新しい道路が作られても表示されませんし、エリアによってシートを入れ替える必要がありました。いまのナビしか知らないひとにはかなりメンドくさいシステムでしょうが、地図を見ながら運転するのが当たり前で、車内に取り付ける「方位磁石」もフツウに販売されていた時代ですから、オーナーはさぞかし鼻が高かったことでしょう。

■カーナビは「平和」の象徴

カーナビが転機を迎えたのは1990年、日本の音響機器メーカーが世界初のGPSを利用したカーナビを開発しました。いまでは子供用の携帯にも利用されていますが、

 ・従来の方法 … 出発地点をもとに、現在地を「相対的」に割り出す

 ・GPS … 現在地の「絶対的」な座標を確認する

の違いから、GPSは圧倒的に高精度。従来のシステムにもさまざまな工夫がなされていましたが、衛星と通信し、時間差で位置を割り出すGPSのほうがはるかに理にかなった仕組みです。

なぜ1990年までGPSが使われなかったのでしょうか? それ以前はGPSが存在しなかったと考えるのが順当ですが、開発されたのは1970年代の話で、「軍用」だったため民間利用が許されなかったのです。

GPSは海上でも砂漠でも電波が届く限り位置を割り出すことができ、つまりは地球上のほとんどの場所で使えることを意味します。そのためアメリカはGPSを軍用に開発したのです。ところがソ連との冷戦が終わるとGPS製品の需要は大幅に落ち込み、メーカーは大打撃…そこで犯罪に使われないよう精度を下げることを条件に、民生品にも使えるようになったのです。

これに着目したのは日本の音響メーカーで、アメリカのGPS受信機メーカーと手を組み「カーナビ」を製作、いまでは欠かせない存在になったのです。ある意味で「不要品」から生まれたカーナビを手本に、身の回りのものから「発明」してみるのもおもしろそうですね。

■まとめ

 ・世界初のカーナビは、日本の自動車メーカーが作った

 ・ジャイロで方向を、タイヤの回転で距離を割り出す仕組み

 ・GPSが使われたのは25年前の1990年

 ・需要が減った「軍用品」から、現代のカーナビが生まれた

(関口 寿/ガリレオワークス)

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