人間の耳は犬の耳。かつて人類の耳は犬の耳と同様音に反応して動いていた(米研究) (2/3ページ)
[画像を見る]
左からアウストラロピテクス、ホモ・ハビリス、ホモ・エレクトス、ホモ・サピエンス
耳介の向きや耳を動かす昔の筋肉の名残を理解することは、人間の聴覚を研究する研究者にとって助けになる。さらに、完全に独立した機能していない運動器系が、自然への新たな面を見せてくれ、神経の発達や遺伝子的要因に光を当てることで新たな説を育むことができる。
関連する痕跡器官の仕組みを洞察することで、聴覚障害児治療の継続研究に貢献できるかもしれないし、驚いたことに、大人のポジティブな感情の客観的尺度にもなるかもしれない。
たとえ、今はもう使われていなくても、心理学者や神経科学者にとっては進化や脳を研究する上で役立つのだ。
痕跡器官とはなにか?
チャールズ・ダーウィンは、『種の起源』の中で初めて、進化において残った名残器官、つまり人体構造の中の痕跡器官について言及している。彼は、それはかつては生存に必要なものだったが、年月とともに小さくなり不要になった機能で、進化の証拠であるとしている。
人間の虫垂はそのいい例だ。虫垂は大腸から飛び出している小さな嚢で、草食の先祖に残されている器官だ。草食の脊椎動物には欠かせないもので、ほとんどはもっと大きな虫垂をもっている。
親知らずは、今よりもっと大きな顎をもっていた我々の祖先からあるもので、痕跡器官ではあるが、歯科衛生のなかった何世紀も前の我々の祖先にとって、虫歯や欠損した歯の代わりにするのに役立ったのかもしれない。現代の人類は昔にくらべて顎が小さくなったため、余計な歯が無理やり生えてこようとして痛みを伴うことが多い。
尾骨はもっとも顕著な人間の痕跡器官だろう。脊柱の先についたこの器官は尻尾の名残だ。わたしたちの先祖が二足歩行を覚えたとき、それまではバランスをとるのに必要だった尾が徐々に消滅した。このようになくてもほとんど影響のない器官はいくつかある。