AKB48島崎遥香主演『劇場霊』コミカライズ記念!タカヲヨシノブ先生インタビュー

デイリーニュースオンライン

(C)2015「劇場霊」製作委員会
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 本日発売となる週刊少年チャンピオン51号にて、ホラー映画『劇場霊』のコミカライズ作品がスタートしました。『劇場霊』は『女優霊』『リング』などの作品で知られる中田秀夫監督の最新作で、AKB48の島崎遥香さんが主演を務めることでも話題になっています(11月21日(土)全国ロードショー)。

 しかし、こういったコミカライズはどのような経緯で成立しているのでしょうか? 今回はコミカライズ担当のタカヲヨシノブ先生、ならびに担当編集さんに作品の裏側を聞いてきました。

グラビアのパワーは実際でかい

━━今回のコミカライズ企画は映画の側から話が来たということですが、他にも「ウチの映画をコミカライズして欲しい」といった話は結構来たりするんですか?

担当「いえ、あんまりないですね。たまーに来るくらいです。というのも、コミカライズも実現するまでに時間が掛かりますからね。執筆にも時間が掛かりますし、ちょうど折良く紙面に枠が空くとも限りませんし」

━━映画側の宣伝して欲しいタイミングとかもあるでしょうから、調整は難しそうですね。でも、それでも今回はGOになったんですよね?

担当「コミカライズできる、できないは色んな要因で決まります。コミックスになった時に採算が取れそうかどうかはもちろんありますが、今回はいつもチャンピオンのグラビアページでやって下さっているAKB48さんの主演作品ということもあって成立した面があります。チャンピオンに島崎遥香さんのグラビアが載る、島崎遥香さん主演の映画のコミカライズも載っている、それが映画もやっている……という、総合的に売りやすい、盛り上げて行きやすい条件が整ってたんです」

━━なるほど。グラビアと漫画の連携が取れるからチャンピオンという雑誌自体のウリが強くなるわけですね。現に今回も『劇場霊』コミカライズに合わせて、グラビアページに島崎遥香さんが登場してますよね。

担当「グラビアページの力って実際すごいですからね。雑誌ってそういうものなんです。僕も会社入ってから初めて知りました(笑) グラビアからコミカライズの方に繋がっていってくれると嬉しいですね」

━━コミカライズ担当のタカヲヨシノブ先生はどのような経歴なのでしょうか?

担当「タカヲ先生はファンタジー作品で新人賞を取った後はずっとホラー漫画を描いておりまして、週刊少年チャンピオンでも三度ホラー読切を掲載しています。研究熱心な方で、暇さえあればホラー漫画を読んだり怪談の朗読などを聞いて『何が怖いのか』を研究してますね」

━━既にホラーの素養と実績があったので、今回コミカライズに抜擢されたんですね。タカヲ先生は元々ホラーがお好きだったのでしょうか?

タカヲ「好きじゃないです! めちゃくちゃビビリなので! 押切蓮介先生の『サユリ』とか読んだ時は怖くて夜寝れなかったです」

━━で、でもホラー描いてるんですよね……?

タカヲ「ビビリだから描ける、というのはあると思います。人一倍怖がりだから『何が怖いのか』が分かるんですよ」

島崎遥香に似ていない?

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(c)タカヲヨシノブ(週刊少年チャンピオン)

━━グラビアとの連動という話がありましたが、しかし、タカヲ先生の漫画では、あんまり島崎遥香さんに似てなくないですか? というか、他のキャラも全部似てないような……。

タカヲ「似てないというか、似せてないですね。というのは、映画と漫画ってやっぱりどうしても違うところがあるんですよ」

━━似せると、難しいところが出てきちゃう?

タカヲ「島崎さんの演じる水樹沙羅というキャラクターが主人公なのですが、映画をベースにすると、台本に書かれていて、撮影されて、動いてるところだけでしか水樹沙羅を掴めないんです。一方で、キャラクターをビジュアルから自分で作ると、台本に無いところも想像して描けたりして、よりキャラクターとして活き活きしてくるんです」

━━キャラクターのビジュアルはキャラクターの内面や性格と連動して作られるということですか? 例えば、キツい性格のキャラクターなら、ビジュアルもキツい感じで設定するとか。そこは生身の人間をベースにするよりも漫画の方が確かに自由度ありますよね。

タカヲ「そうなんです。表情とかも漫画の方が本当の人間の顔よりも自由に変えられますから」

━━しかし、たとえ現実の島崎遥香さんに似せて描いたとしても、それはそれで漫画なのだから、自由に崩して描いちゃえばいいんじゃないですか?

タカヲ「元々の人間の顔を真似するとなると、どうしても僕の中で枠ができちゃうんです。人間の顔はこんな動きしかしないから、ここからはみ出せないぞ、って。どうしてもそこで制限が掛かっちゃう。けど、キツい性格のキャラクターなら、元の顔をキツめに設定することで、よりオーバーな表現がしやすくなるんです。表情の可動域が広がると言いますか」

担当「漫画ってそういうことですよね。現実よりもオーバーに、デフォルメして描く」

コミカライズのメリットは?

━━漫画を作る過程には様々な困難があると思いますが、ゼロから作品を作る場合と比べて、コミカライズで有利な点はありましたか?

タカヲ「元々話があって脚本もあるので、ネームが大きく崩れない、話が破綻しない、というのはやっぱりありがたいですね。僕は連載経験が初めてなので、脚本があるのは助かります」

━━なるほど。あと、漫画を拝見して思ったのですが、シーンを描く時に、小道具とか背景とかをゼロから考えなくていい、というのも利点なのではないですか? 例えば街の俯瞰図を描こうとしたら、普通はまずスカイツリーとかに登って写真を撮るところからじゃないですか。でも映画のコミカライズなら映画の中に背景も小道具も全部映ってる。

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タカヲ「……それがですね! 本作はホラーじゃないですか。画面が暗いから背景に何があるのか意外と見えないんですよ! 映画の脚本と予告編の動画を参考にしながら描いているのですが、動画のスクリーンショットを撮って、解像度上げて、明るさ調整して、じーっと見てみても何があるのかよく分からない……」

担当「ホラーじゃなければそういうこともないんでしょうけどね(笑)」

タカヲ「なので、元の映像が50、残りの50を想像で補って描いてる感じです。それでも元が50あるだけでも助かりますけどね。『こういう場所だから、他にはきっとこんなのがあるだろう』みたいに想像はし易くなっています」

漫画では表現できない映像演出

━━映画と漫画はやっぱり違う、という話がありましたが、コミカライズ特有の難しい箇所とかもあるのでしょうか? 映像なら簡単に表現できるけど、漫画だと一筋縄ではいかない……みたいな。

タカヲ「あります。漫画の場合、コマとコマの間は読者に想像してもらうものじゃないですか? でも映画では全部映像が繋がってるんです。例えば、映画でライトがずっと点滅し続けているシーンがありまして。明かりが点いたり、消えたり……。けど、これを漫画でやったら、点く、消える、に2コマも使うことになります。常に点滅しているシーンはどうしても書きづらいので、僕の漫画ではもうずっと電気を消しちゃうことにしました」

━━言われてみれば、確かにそれ、どうやって漫画で表現すればいいのか全然分からないですね……。

担当「後は音ですね。ホラー映画って音がすごく大事だと思うんです。音で、なんか怖いな、なんか出てきそうだな、って気持ちを煽っていくじゃないですか」

━━あー、音は大事ですよね。バイオハザードとかやってても、音消すだけで全然怖さが違ってきますし。

担当「恐怖って耳から得るところが大きいんですよね。漫画でのホラーは音がないというハンデを負っているとは思います。めくりとか、書き文字の雰囲気とかで、来るぞ、来るぞ!っていうのを表現しなければいけない」

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(c)タカヲヨシノブ(週刊少年チャンピオン)

タカヲ「僕は特にめくりが大事だと思いますね。ページをめくった時に読者がビックリするような表現を載せる。めくりは漫画独自の表現方法だと思うし、めくりは映画の音と同じような役割なんじゃないかなって。映像だと…………ォォォォオオオ!!! ってだんだん音が大きくなってから、ドーン!と怖い映像が来るじゃないですか。漫画も小さなコマが続いていって、それでページをめくると大ゴマでドーン! と」

━━めくりと言えば、ホラーに限らず、例えばファンタジーとかでも、めくりで衝撃の新展開を描いて読者を驚かせたり、ギャグ漫画もめくった時に面白いコマを用意したりしますよね。

担当「めくりで読者を驚かせるのが大事なのはホラーも他の漫画も一緒かもしれませんね。ただ、ホラーは『めくって驚かせる』の重要性が色濃く出ているというのはあるかと思います。ホラー漫画を描いていけば、その点が鍛えられるのかも(笑)」

タカヲ「映画のままの演出だと、やっぱり音のハンデとかで、漫画では十分に怖くできなかったりするんです。だから、めくりのシーンでは自分なりに演出を付け加えてしっかりと怖いものにしようとしています。めくりが一番僕のオリジナリティが発揮されているところだと思いますね」

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 インタビューを通して感じたのは、やはり映画と漫画のメディアの違いは確実にあるということです。しかし、その部分を漫画版は独自の手法で補っており、その点がコミカライズの独自性にもなっているとのことです。映画版と漫画版を見比べて、漫画ならではの独自の工夫や手法に注目するのも面白いかもしれませんね。

著者プロフィール

作家

架神恭介

広島県出身。早稲田大学第一文学部卒業。『戦闘破壊学園ダンゲロス』で第3回講談社BOX新人賞を受賞し、小説家デビュー。漫画原作や動画制作、パンクロックなど多岐に活動。近著に『ダンゲロス1969』(Kindle)

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