【研究結果】迷える大学生に! 自分探しの旅は「下級生」のうちにやるべき理由
学生によくある「自分探し」。社会に出る前に見つけておくのは望ましいことですが、上級生になってから探し始めても効果的じゃないのはご存じでしょうか?
自分探しは、自分に対する違和感や自己理解、つまり自分を良くわかっていないことから始まります。ただし「これが自分」と見つかっただけでは満足できず、自分の未知の領域を「開拓」するなど達成感も必要。上級生になるほど就活などの行事が増え、達成感を味わうのは当たり前の話なので、「旅」にでるなら下級生のうちがお得なのです。
■出発するなら「早め」がお得
いまでは「自分探し」の単語が定着していますが、そもそも自分自身はもっともわかりにくい存在。客観的にみることもできませんし、どんなに理論的に考えても主観や志向を取り除けないからです。つまり「自分はこういうひと」と説明できるほうが特異的で、年齢や性別を問わず、だれもが自分探しの途中と言えるでしょう。
なかでも多いのが学生で、高校までは制服や規則にしばられていたのに、進学を機に「ほぼ」自由になるため、行動はもちろん、自分の身の置き場も迷うひとが多いでしょう。制約されるのはイヤだけど、何をしても良いと言われたら、なにができる?なにをしたい?となるのが人情で、それゆえ「自分探し」と表現されるのです。
どうすればうまく「自分探し」できるのでしょうか? 大学生およそ350人を対象におこなわれた調査では、
・自己理解
・自己違和感
・自己開拓意識
の3つにわけ、2年生と4年生の回答を集計したところ、
・(全般)自己理解が高いひとは、自己開拓意識も高い
・(2年生)自己理解は低いが、自己開拓意識は高い
・(4年生)自己理解が高く、自己開拓意識も高い
と、4年生は自分を「良く」知っているひとが多いのに対し、2年生は自己開拓意識が強いものの理解は低く「がむしゃら」に頑張っているひとが多いことがわかったのです。
■「違和感」は放っておいてOK?
これらの結果はなにを意味しているのでしょうか? 2年生と4年生の差は「自己理解」、これを補えば4年生と同じスコアが得られることを意味しているのです。
上級生、つまり長い時間を経れば経験する「できごと」も増えるのは当然で、自分の長所や短所、なにがしたいのかなどは自然と情報が増えます。とくに就職活動は、はじめての「社会」とのつながりだけに、良くも悪しくも自分を知るチャンスになるはずで、場合によっては「あきらめ」のかたちで理解することもあるでしょう。対して2年生は半分の経験しかないのと同じですし、あきらめてもほかを試す時間があるので、「自分探し」には絶好のタイミング。4年生になってから「旅」に出ても、ほぼほぼ固まった自分があるので、2年生ほどの効果が得られないと考えるべきでしょう。
自己理解が高ければ自己開拓意識も強く、成功すれば「自分にもできる」と自己効力感もアップし良い流れに変わるので、はやいうちに「自分を知る」ことが重要になります。「小さい子には旅をさせろ」なんてことわざがあるように、「自分探しの旅に出るなら若いうち」が得と表現できるでしょう。
ただし自己違和感については、自己理解、自己開拓意識のどちらにも関連性が見いだせず、また学年によっても大きな差はみられませんでした。つまり感じるひとが多いわりに「だからなに?」な要素と表現できます。自分自身と「しっくりこない」と感じるひとも、違和感はガマンして「自分を理解する」ことに専念するのが良さそうです。
■まとめ
・自己理解が高いひとは、自己開拓意識も強い
・上級生になるにつれ、自己理解は必然的に高くなる
・「自分探しの旅」にでるなら、自己理解が低い下級生のうちが効果的
・自己違和感は、理解や開拓意識と関連性がみられない
(関口 寿/ガリレオワークス)