【TBS】新聞全面広告で名指し批判された「NEWS23キャスター」の言論レベル

デイリーニュースオンライン

「NEWS23」公式HPより。左が岸井氏。
「NEWS23」公式HPより。左が岸井氏。

<私達は、違法な報道を見逃しません>

 11月15日付け「読売新聞」を見た人は、この見出しと“目”の写真をデカデカと載せた誌面に度肝を抜かれただろう。すぎやまこういち(作曲家)、渡部昇一(上智大学名誉教授)、渡辺利夫(拓殖大学総長)、ケント・ギルバート(加州弁護士・タレント)各氏らが呼びかけ人となった<意見広告>で、新聞の全面を使って展開され、かなり目立つものだった。

 趣旨としては、テレビ報道があまりに偏向していることへの疑義申し立て。

 先の安保法案は賛成・反対の両論があったにも関わらず、主要ニュース番組は反対意見ばかりを報じていた事実を、安保法制<両論放送時間比較>として提示している。例えばテレビ朝日の報道ステーションは、賛成・反対意見の時間配分がそれぞれ5%と95%。TBSのNEWS23は7%と93%である……という具合に(注1)。

「テレビの安保法案報道は、反対意見ばかりに偏っている」と指摘する声が多かっただけに、これ自体は賛同する方も多いだろう。しかし今回の<意見広告>が特異だったのは、あるジャーナリストを名指しで徹底批判した点だった。

 彼がNEWS23内で言い放った、

「メディアとしても(安保法案)廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」

 という発言は、

<政治的に公平であること>
<意見が対立する問題については多くの確度から論点を明らかにすること>

 を謳った放送法(注2)第四条に違反する悪質なプロパガンダであり、放送局を管轄する総務省にも見解を求める…としている。

 このジャーナリストの名は、毎日新聞特別編集委員の岸井成格(きしい・しげただ)氏。「TBSサンデーモーニング」のコメンテーターや「NEWS23のキャスター(アンカーマン)」としてお馴染みの、あのヒゲのオジサンである。

岸井氏が吠えた夜

 <意見広告>は岸井氏がコメンテーターとして個人的意見を言う自由は認めつつも、番組と局を代表するキャスターの立場での前述発言は、偏向によって国民の知る権利を蹂躙していると言う。

 ——ここで時間を十数年さかのぼる。

 場所は新橋の居酒屋で、筆者の目の前には岸井氏。メディア関係の会合を終え、強引に誘われた二次会だった。テレビ局に重宝されるだけあり、岸井氏は話がうまい。大先輩からのアドバイスを傾聴していたのだが、ある話題で突然、彼が気色ばんだ。

「おたくはさあ、CIAから情報もらってるんだろ!」

 当時、筆者が所属していた「媒体」のネタ元が、米国・中央情報局CIA(注3)だとお怒りなのだ。以後、いくら否定しても九官鳥のように「CIAだろ!」としつこく繰り返し、最後は泥酔してお帰りになった———。

 昔の酒席エピソードまで持ち出したのは恐縮だが、岸井氏の楽しい、悪くいうとオッチョコチョイな人柄が分かってもらえるはず。これまでもテレビでサヨク(注4)的な発言を繰り返してきたが、そこに「放送法とは?」という深謀は無かっただろう。 この<意見広告>には概ね同意するが、確信犯とはいえない岸井氏に関しては追い詰め過ぎではなかろうか? ご本人の反省と総務省の見解を待ちたい。

 そして、もし岸井氏がこれを読んでお怒りになったら……。 あの夜「おごってやる」と仰ったものの、泥酔した岸井氏に代わって支払いは筆者が済ませたということで(注5)、ご勘弁頂きたい。

(1) 時間配分…テレビ東京だけが両論の配分が50%・50%で、また株を上げた。
(2) 放送法…テレビ局はこれを遵守しなくてはならない。
(3) CIA…はっきり言えば米国のスパイ機関。
(4) サヨク…まともな「左翼」と違い、ものを深く考えない。
(5) 支払い…その後、岸井氏から詫びや支払いは無い。

著者プロフィール

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コンテンツプロデューサー

田中ねぃ

東京都出身。早大卒後、新潮社入社。『週刊新潮』『FOCUS』を経て、現在『コミック&プロデュース事業部』部長。本業以外にプロレス、アニメ、アイドル、特撮、TV、映画などサブカルチャーに造詣が深い。Daily News Onlineではニュースとカルチャーを絡めたコラムを連載中。愛称は田中‟ダスティ”ねぃ

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