「養老天命反転地」:水野しずアート連載1 (3/3ページ)
私は常々、岐阜県(東濃地方)民は奇なものに対するスルースキルが高すぎると思っていました。奇なもの、とは要するに個人の内面が意図せず世界に表出されてしまった、ゲリラアートのようなものです。正気ではいられないほどの地雷原を岐阜県民は涅槃、もしくはイオンモールの客のような顔つきで渡り歩いているのです。私は岐阜をドロップアウトしました。辛かったからです。アートがなくて、正確には奇の表出で満たされているにも関わらず、それらが認識されずに素通りされてしまうせいでアートが機能しない、亡霊で満たされた空虚な地雷原で一人音を立てて燃える空しさに耐えられなかったからです。養老天命反転地は、(私のイメージの中で)燃えていました。私はその空しさに幼少期の己を重ねるような想いを抱きました。思い返してみると開設当初訪れた養老天命反転地で、オープニングの華やかなムードとともに最も盛り上がっていたのは明らかに地ビールやフランクフルトを販売しているエリアであり、純粋なアスレチック機能としては実際のアスレチックに劣る養老天命反転地が果たしてどの程度養老天命反転地たりえたのか、世の中に違和を表明できたのか、私にはわかりません。わかりませんが、荒れ果てた反転地に想いを馳せながら、地元で一度死んだ私自身に追悼の念を送った次第です。
養老天命反転地、関東県からは少し距離がありますが、後悔しないと思うので是非一度訪れてみてください。またその際には近辺に在する東濃ムード満喫スポット、養老ランドにもついでの来園をお勧め致します。
(隔週連載)
【水野しず:プロフィール】
みずのしず…イラストレーター/漫画家/モデル。1988年12月19日生まれ、岐阜県 多治見市出身。講談社が主催する女性アイドルオーディション、ミスiD2015で グランプリを受賞。カルチャーマガジン『TRASH-UP!!』等で漫画を連載するほか、モデルとしても活躍中。部活遍歴 は手話部、囲碁部、切り絵クラブ(副部長)。
公式サイト:http://mizuno-shizu.jimdo.com/
ツイッター:@320_42