PHVやFCVなど、2015年次世代環境車の最新トレンドを振り返る

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PHVやFCVなど、2015年次世代環境車の最新トレンドを振り返る

2015年は、水素で走るFCV(燃料電池車)やPHV(プラグインハイブリッド車)などの次世代環境車に関する話題が豊富な年となった。


■ 欧州都市部でディーゼル車による大気汚染が深刻化

欧州では都市部で深刻化する大気汚染を改善すべく、昨年9月以降に発売された新型車を対象にEU(欧州連合)による排出ガス規制“ユーロ6”が適用されており、今年9月からは継続生産中の販売車両についても同規制が適用された。

折しも、VWによる排ガス規制逃れが欧米で大きな問題になっているが、ユーロ6ではディーゼル車の場合、1km走行当たりのNOx(窒素酸化物)排出量を、これまでの0.18gから0.08g以下にするよう厳しく規制している。

この規制が6割近くをディーゼル車が占める欧州で大きなハードルになっているのだ。

とは言え、ユーロ6のNOx規制値は現在の日本の規制値(2009年10月施行)と同等である。

■ 急がれるNOxとCO2の排出量低減

また、CO2(二酸化炭素)排出量についても、2021年までに2015年の130g/km(燃費換算17.8km/L)から95g/km(24.4km/L)以下に低減する必要が有る。

こうした状況を踏まえ、欧州車メーカーはこれまでの技術の延長線上では規制値クリアが困難と判断、日本メーカーが先行して開発してきた環境技術を競って取り入れ始めた。

ちなみに、HV(ハイブリッド車)のトヨタ『プリウス』(89g/km)は、現時点で既にこのCO2規制値をもクリアしている。

一方、米国ではカリフォルニア州のZEV(Zero Emission Vehicle)規制強化に伴い、2018年モデル(2017年式新車~)より、エンジン走行を主体とするHVがZEVの定義から外され、少なくとも“PHV”である必要が出て来た。

こうした背景から、今年は各社からPHVの新型車発表、投入が相次いだ。


■ 続々と各社がPHVを市場投入

source:https://www.press.bmwgroup.com/

BMWは昨年12月、コアモデルの全てにPHVモデルを用意するとの意向を表明、今年9月にはBMWブランド初となるPHV『X5 xDrive 40e』シリーズの受注を日本でも開始した。

今秋のフランクフルトモーターショーでは、EV走行が約40km可能な2シリーズの“225xe”と3シリーズの“330e”を初公開。

※ BMW Group at the 2015 Frankfurt Motor Show – YouTube

また、Audiも今年11月、PHEVの“Audi A3 Sportback e-tron”を日本へ導入。

150ps/25.5kgmのパワー/トルクを発揮する直噴ターボの1.4 TFSIエンジンに加えて、駆動用モーターと外部から充電が可能な高電圧リチウムイオンバッテリーを搭載、EVモードで52.8kmの走行を可能にしている。

※ Audi A3 Sportback e-tron – YouTube

モーターのみで日常的な走行が可能であり、最高速は130km/hに達する。

エンジンとモーターを併用したハイブリッドモードでは23.3km/Lの燃費と、0‐100kmを7.6秒で加速する俊敏なパフォーマンスを両立している。

ボルボもSUVのPHV“XC90 T8”を発表しており、今年10月には2020年までに世界販売の10%を電動化する方針を発表、全ラインナップにPHVを設定すると宣言している。

source:https://www.media.volvocars.com/

国内では来秋、トヨタがモーターによる走行距離を倍増させた次期『プリウスPHV』を発売する予定だ。

ホンダも2018年から米国にPHVを導入する方針を明らかにしており、今後世界中で発売していくとしている。

■ 欧米に上陸したトヨタのFCV「MIRAI」

今後さらに欧米の排ガス規制が強化されることを踏まえて、自動車各社が開発に凌ぎを削っているのが、水素燃料による発電装置を搭載した究極のエコカーこと、“FCV”だ。

source:http://newsroom.toyota.co.jp/

トヨタ自動車が昨年12月、世界に先駆けて販売を開始したFCV『MIRAI』は国内販売に続いて9月からイギリス、デンマーク、ドイツの3カ国でも販売を開始した。

※ Toyota Presents… Mirai in London – YouTube

その後米国への輸出も始まっており、今年の10月初時点で受注台数が年間販売計画の2倍近い約1,900台に達するなど、2017年末までの販売目標である3,000台に対しても大きく上ブレしそうな状況だ。

source:http://newsroom.toyota.co.jp/

トヨタは、FCVの普及に向けて量販車種への展開を急いでおり、その第1弾となる次期レクサスLSのコンセプトモデル“LF-FC”を東京モーターショー 2015に出展した。

同モデルに命名された“FC”は勿論、フューエル・セル(燃料電池)の搭載を意味している。

レクサス初となるFCVで、高出力のFCスタックやPCU(パワーコントロールユニット)をエンジンルーム内に配置、水素タンクをT字型に配置しているのが『MIRAI』との違いで、最適な前後重量配分により、優れた操舵応答性を実現させるようだ。

レクサス『LS』は、2006年に4代目を発売以降、丸9年が経過していることから、次期モデルの登場が待たれており、発売時期として2017年が有力視されている。

■ ホンダから遂に市販モデルのFCVが登場

一方、FCV開発の双頭であるホンダは、東京モーターショー 2015でFCV市販モデル『CLARITY』をワールドプレミアした。

トヨタ『MIRAI』との違いは、次期レクサスLS同様、FCパワートレインを、V6エンジン並みにコンパクト化してフード内に集約した点で、これにより大人5人が快適に座れるキャビンスペースを確保している。

FCスタックのスペックはほぼ同等ながら、モーターの最高出力は『MIIRAI』の113kWに対して130kWに高められており、一充填当たりの航続距離は『MIRAI』の650kmを上回る700km以上としている。

source:http://www.hondanews.info/

価格は『MIRAI』の、723.6万円に対して約42万円高の766万円(共に税込)。2016年3月に発売予定だ。

こうして、年内に大手2社から市販版のFCVが出揃った訳だが、肝心の水素ステーションの整備状況はどうなっているだろうか。

■ 来年3月末までに81ヵ所の水素ステーションが開業予定

石油・ガス会社等のエネルギー関連企業、自動車メーカー等20社で設立した水素供給・利用技術研究組合HySUTによると、2015年度(~2016年3月/末)までに全国100ヵ所の設置目標に対して、現在四大都市圏を中心に28ヵ所が開所済みで、年度末までに81ヵ所が開業予定になっているそうだ。

700気圧の水素を供給するディスペンサーのノズル形状は、既に国際標準化済みで、海外への輸出も視野に入れた設計になっていることから、今後、日本の技術が海外へ展開されていくことになると言う。

水素は漏れても直ぐに大気中に拡散するため、溜めない限り着火する危険性が低いのが特徴だが、水素ステーションには安全対策として水素検知器、火災検知器が備えられている。

以上、ざっくりと今年の次世代環境車の最新動向について触れてきたが、今後は日本勢もこれまで以上にPHVの開発を活発化させるものと予想される。

いずれにしても、世界的な潮流である排ガス規制強化を考えると、ガソリン・ディーゼル車は将来的にはかなり厳しい状況になるのは間違いない。

トヨタ自動車が先頃、持続可能な社会の実現に貢献するための新たなチャレンジとして発表した『トヨタ環境チャレンジ2050』の中で、2050年までにガソリン・ディーゼルエンジン車をほぼゼロにし、主力車種を順次PHV、FCVなどに切り替える方針を示したのも、こうした背景がベースになっている。

今後、次世代環境車の開発はいっそうスピードアップして行くことになりそうだ。

【参考・画像】

※ TOYOTA Global Newsroom

※ HONDA Media Website

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